カメノコハムシ

フィソノータ・アルタケア(ハムシ科:カメノコハムシ亜科:カメノコハムシ族)
Cassidine tortoise beetle, Physonota alutacea
交尾中のところをおじゃまして撮影。乗っかっているのがオス。
体長:約10 mm 撮影地:サンタ・ロサ国立公園、コスタリカ 同定はスミソニアン熱帯研究所のFredric Vencl博士。

 カメノコハムシのフィソノータ・アルタケア。甲羅のような前翅に水色がにじみ出てきているような装いだ。コスタリカ北西部の熱帯乾燥林で、ムラサキ科の植物の茎で交尾中のところに出会った。このハムシに刺激を与えると、不思議なことに前翅の水色がなくなって透き通ったようになり、翅の向こう側の黒っぽい体の色が見える。頭の上の部分は白地に黒い模様が浮き上がった模様になる(第27回を参照)。

トゲハムシ

ユープリオノタ属の1種(ハムシ科:カメノコハムシ亜科:トゲハムシ族)
Leaf-mining beetle, Euprionota cf. gebieni
前翅の色は角度によって変わる。キク科のVernonia属の葉を削るように食べる。幼虫はまだ見つかっていない。
体長:6 mm 撮影地:モンテベルデ、コスタリカ 同定はスミソニアン自然史博物館のCharlie Stains博士。

 ぼく好みの地味な輝きを放つトゲハムシの仲間。パッと見、葉の上に黒い塊がちょこんと乗っているのだが、よく見ると「謎めいた」輝きが放たれている。このグループの和名は「トゲハムシ」だが、実はぼくにはあまりしっくりこない。日本のトゲハムシには前翅によくトゲトゲがあるのだが、コスタリカで見かけるトゲハムシのほとんどにトゲトゲがないからだ(この種には前翅の後ろの方に少しトゲトゲがあるか・・・)。

ヒゲナガハムシ

インビオルペルス・コスティペニス(ハムシ科:ヒゲナガハムシ亜科:ヒゲナガハムシ族)
Skeletonizing leaf beetle, Inbioluperus costipennis
交尾をしているペア。1993年にクラーク博士(Dr. Shawn Clark)がこの種を新属新種で発表。同定はクラーク博士。
体長:5~7 mm 撮影地:モンテベルデ、コスタリカ

 ヒゲナガハムシの仲間だが、ヒゲナガハムシっぽくない種。専門家のショーン・クラーク博士によると、全身が虹色に輝くメタリックなヒゲナガハムシは珍しいそうだ。コスタリカの雨季に入る前の4月ごろ、我が家のトイレの天井の明かりにたくさん集まっていたなかに、交尾をしているペアがいた。この種を同定してくれたクラーク博士が、1993年に今はなきコスタリカの生物多種多様性研究所(INBioインビオ)の名前にちなんで属名をインビオペルスと命名している。発表当時は、標本が5個体しかなかったと言う。

ノミハムシ

アラゴアサ属の1種(ハムシ科:ヒゲナガハムシ亜科:ノミハムシ族)
Flea beetles, Alagoasa cf. gemmata
食草の葉の上で交尾をしているペア。写真右下に見えているのは糞。右の写真は腹側から見たところ。ノミハムシの特徴である肥大した腿節(たいせつ)は、ノミのようにピョンと勢いよく跳ねて、瞬時にその場から消え去るのに役立つ。
体長:8 mm(オス)、10 mm(メス) 撮影地:モンテベルデ、コスタリカ

 雨季が始まりしばらくすると、ここバイオロジカルステーションの庭で毎年出会うノミハムシの1種。交尾をしながら、メスが葉の表面をかじり削るように食べているのをよく目にする。このハムシは、シュレゲーリア科の植物の葉を食べるほか、フジウツギ属の植物の葉も食べることを確認している。実は、シュレゲーリア科はときにゴマノハグサ科に含まれることがあるし、フジウツギ属は最近ゴマノハグサ科に移された。つまりこのノミハムシは、違うようでいてよく似た植物を食べていたということだ。昆虫は人間よりも植物をよく知っているのである。

編集者から:西田賢司さんが平成30年度の外務大臣表彰を受賞なさいました。おめでとうございます!(外務省プレスリリース)

西田賢司さんNHK『ダーウィンが来た!』に出演

西田賢司さんが、NHK総合『ダーウィンが来た!生きもの新伝説』に出演されます。放送は2018年8月19日(日)。連載「コスタリカ昆虫中心生活」に登場してきた昆虫たちの一部も映像で紹介されるとのこと。どうぞお楽しみに!

『ダーウィンが来た!生きもの新伝説』 NHK総合
「奇想天外!珍虫たちのサバイバル」
2018年8月19日(日)午後7時30分~放送
https://www.nhk.or.jp/darwin/

西田賢司

西田賢司(にしだ けんじ)

1972年、大阪府生まれ。中学卒業後に米国へ渡り、大学で生物学を専攻する。1998年からコスタリカ大学で蝶や蛾の生態を主に研究。昆虫を見つける目のよさに定評があり、東南アジアやオーストラリア、中南米での調査も依頼される。現在は、コスタリカの大学や世界各国の研究機関から依頼を受けて、昆虫の調査やプロジェクトに携わっている。第5回「モンベル・チャレンジ・アワード」受賞。著書に『わっ! ヘンな虫 探検昆虫学者の珍虫ファイル』(徳間書店)など。
本人のホームページはhttp://www.kenjinishida.net/jp/indexjp.html

おすすめ関連書籍

ミラクル昆虫ワールド コスタリカ

昆虫とともに暮らす著者の、ちょっと変わった昆虫中心生活。奇妙で面白い昆虫写真が満載!

定価:本体1,800円+税

この連載の前回の
記事を見る

この連載の次の
記事を見る