6月以降、たびたび森から「異様な」鳴き声が聞こえてくるようになった。朝の8時、今も家の中まで響いている。
鳴き声の正体は、サンショクキムネオオハシ。中南米にすむくちばしの大きな鳥、オオハシ(Ramphastos属)の1種で、大きさは約45センチ、体重は400~500グラム。くちばしが船底(keel)のようなかたちをしているので、英語でKeel-billed Toucanと呼ばれる。そのレインボーな色合いは鮮やか!としか言いようがない。ふだんは鳥を見かけてもあまり興味を示さないぼくが、ついついカメラを向けてしまう鳥だ。
この鳥はたいてい数羽から10羽ほどの群れで移動する。今回観察しているサンショクキムネオオハシは2羽で移動しているようだが、寄り添っているというより、いつも数メートルから数十メートルの距離を保っている。つがいなんだろうか?
鳴いている場所は、たいてい高い木の上。朝でも昼でも夕方でも、晴れても曇っていても、雷が鳴っていても、とにかくよく鳴いている。
鳴いている間、サンショクキムネオオハシは落ち着きがない。首を上げたり下げたり、ひねったり、ピョンピョンとジャンプして隣の枝に飛び移ったり。もしかすると、大きくてカラフルなくちばしを、鳴き声と動きによって目立たせることで、何かをアピールしているのだろうか? たまに鳴き止んだかと思うと、大きなくちばしを使って羽づくろいをちゃちゃっとして、また鳴き出す。1羽だけが鳴いていたり、2羽同時に鳴いていることもある。
しかし、気になるのはこの鳥の鳴き声。ぼくには警告音のように聞こえてならない。なぜなら、その声が轟いている間、ほかの鳥たちが警戒して鳴き止むのか、森が「シーン」とする傾向があるのだ。しかも、同じ場所で1時間以上も鳴き続ける。そんな森の様子にぼくは違和感を感じるので、冒頭で「異様な鳴き声」と表現した。
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