第140回 雨季を告げる雨、森は黄金色に染まった
みなさま、ご無沙汰しております。新年度が始まり、テレビ取材や蝶の調査などでバタバタバタフライ状態でしたが、おかげさまでコスタリカ昆虫中心生活の連載は7年目を迎えることができました。今年度もどうぞヨロシクお願いいたします! 今回は、雨季を告げる雨とともに出会った昆虫たちと、その日の印象的な色の光景をご覧ください。
4月19日、スコールのような強い雨が、今年初めてドーッと降った。乾いて土ぼこりが舞っていた地面は一気に潤い、森の新緑がこちらに迫って来るような「勢い」に満ちる。それと同時に、名も知れぬ小さな昆虫たちがいっせいに飛び交い始めた。たくさんの昆虫たちを目にすると心が弾む。
雨季の始まりは、風の強い乾季と打って変わって、風のないムッとした空気が漂ってくる。コスタリカの4月は年中で一番気温が高いのである。数日前の夜、太平洋側で入道雲が現れ、イナズマが走っていたので、雨季が近づいているのだろうと思っていた矢先の強烈な雨だった。
2時間ほどすると雨はやみ、日が差し込んだ。雨粒に飾られた宝石のようなキラキラ昆虫たちが目に付く。しっとり軟らかくなった朽木からは、甲虫たちが目覚めてくる。雨と気温の上昇が、植物の成長と腐敗を活性化させ、それらを求める昆虫たちを活発にさせる。