ヘリコニウス・クリソニムス・モンタヌスの卵
Egg of Montane Longwing Passion-Vine Buttefly, Heliconius clysonymus montanus
トケイソウの葉の上に産みつけられた卵を真上から見たところ。ドクチョウの多くは、黄色い卵を産む。
直径:約1 mm 撮影地:モンテベルデ、コスタリカ
[画像をタップでギャラリー表示]

ドクチョウを卵から育ててみたら

 ドクチョウのメスは、トケイソウ(パッションフルーツ)の仲間の若い葉や茎、巻きひげ(つる)などに、黄色い卵を産みつける。トケイソウの葉や茎には、シアン化物やアルカロイドが多く含まれている。それを幼虫が食べて体内に蓄えるか、成分を利用して体内で「毒」を再生成し、成虫へ、そして卵へとその成分が受け継がれているようだ。

トケイソウの仲間、パシフロラ・ビフロラ(Passiflora biflora)。ヘリコニウス・クリソニムス・モンタヌスの食草のひとつで、直径約3センチの白い花が咲く。成長した葉には黄色い点々の模様がくっきり見える。
[画像をタップでギャラリー表示]

 モンタヌスのいまだ知られざる生態を明らかにするため、卵から飼育することにした。卵の付いた葉を採集していると、黒くなっている卵が見つかった(次の写真)。形はモンタヌスの卵だが、色だけが黒い。ほかの生物に寄生されている可能性が高いので、黒い卵も飼育してみることにした。

黒くなっていたヘリコニウス・クリソニムス・モンタヌスの卵。おそらく寄生されているので黒くなっている。
[画像をタップでギャラリー表示]

 黄色い卵からはドクチョウの幼虫が出てきた。一方、黒い卵から出てきたのは、寄生バチのタマゴクロバチだった。

黒くなっていたヘリコニウス・クリソニムス・モンタヌスの卵から出てきたタマゴクロバチの成虫。
[画像をタップでギャラリー表示]

 ドクチョウの幼虫は、孵ってからしばらくすると、毛の先に小さな透明の「しずく」のようなものが見え始めた。体に液体が付いていると捕食者が嫌がったりするので、このしずくは、例えばアリから身を守るために分泌されているのかもしれない。

2齢に脱皮する直前(体長約6 mm)の1齢幼虫。頭(頭蓋)が外れかかっている。矢印の先の黒い点々は、2齢幼虫の眼(単眼)。透明の「しずく」が毛の先にくっついているのがわかる。
[画像をタップでギャラリー表示]

 2齢幼虫からは、毛が黒いトゲトゲのようになって、先端にしずくは見られなくなった。

2齢幼虫。黒いトゲトゲに、黄色がかったオレンジ色をしているが、中に食べた植物の緑が透けて見えている。体長は約7 mm。
[画像をタップでギャラリー表示]

飼育を続けて、4齢幼虫が5齢(終齢)に脱皮するところを捉えることができたのでどうぞご覧ください。体長は約22ミリ。

 トゲは黒いと思っていたのだが、終齢幼虫のトゲは青光りすることが確認できた。そして、葉以外に硬い茎もガジガジ食べることがわかった。

ヘリコニウス・クリソニムス・モンタヌスの終齢幼虫がトケイソウの硬い茎を食べているところ。頭を正面から撮影。黒いトゲトゲが紺色の輝きを淡く放っている。
[画像をタップでギャラリー表示]

 次回は、ドクチョウの生活の続きを紹介する予定です。どうぞお楽しみに♪

トケイソウのパシフロラ・ビフロラの乾燥した巻きひげに産みつけられたヘリコニウス・クリソニムス・モンタヌスの卵。横から見たところ。高さ約1.5 mm。
[画像をタップでギャラリー表示]
ヘリコニウス・クリソニムス・モンタヌスの1齢幼虫。卵から孵って、卵の殻を食べ終わったところ。体長約3 mm。
[画像をタップでギャラリー表示]

次のページは、<今週のピソちゃん&謎の幼虫News>です。

おすすめ関連書籍

ミラクル昆虫ワールド コスタリカ

昆虫とともに暮らす著者の、ちょっと変わった昆虫中心生活。奇妙で面白い昆虫写真が満載!

定価:本体1,800円+税

この連載の前回の
記事を見る

この連載の次の
記事を見る