さて、入り江を封鎖したはいいものの、本当にこの中にマナティーはいるのだろうか。なかなか呼吸をしてくれないから、それを確かめるには、じっと待つしかない。

 前回の呼吸から実に17分後、ディオゴと漁師さんたちが、入り江の中で呼吸を確認した。

 そこで、もう一枚、内側に網を入れて、マナティーがいたあたりを囲い込む。最初は大きく、それから、ゆっくりと幅を狭めていく。

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 漁師さんの当てがはずれて、マナティーが網の外だと分れば、仕方ないので、またやりなおしだ。二度、三度と繰り返すうちに、やっと網に入り、そのまま陸に上げられた。

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 ぼくにとってはじめてのアマゾンマナティーは、「幻」からいきなり現実になった。うわーっ、という感動というよりも、「こいつ、大丈夫かな」、というのが最初の感想だった。

 でっぷりとした巨体だし、大あばれするかと思いきや、意外におとなしい。それどころか、まったく動かない。本当に生きているのか心配になるほどだ。それでも、よくよく見ると小さくつぶらな目を開け閉めしたり、鼻の穴の蓋をパカッとあけて呼吸をしたりしている。

「捕獲される時に、結構消耗しているんですよ。だから代謝を落として、ぐったりして見えます」というのが菊池さんの説明だ。水面からはまったく見えなかったが、それなりに網から逃げようとジタバタしていたのかもしれない。

 マナティーはストレッチャーに乗せられて、6人がかりで車の荷台のマットの上まで運ばれた。体温が上がらないように水をかけられつつ、すぐ近くにある検査用の小屋へ。車で走れば、1分もかからない距離だ。

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