「スーパーコンピュータを使った数値シミュレーションをやって、現実とすり合わせて、より精密なモデルを作っていくというアプローチがあって、それを、我々はやっているんです」と。

 数値シミュレーションと聞いて、気象科学を思い出す人が多いと思う。
 明日の天気を知るために、気象変化を再現する一群の数式(モデル)に手持ちのデータを放り込んでコンピュータでどんどん計算していく天気予報は、数値シミレーションの一番身近な応用例だ。

 藤田さんがやっているのは、やはり、噴火の際に起きていることについてモデルを作り、計算することだ。しかし、火山のシミュレーションは、気象よりもかなり難しい。現状では、天気予報ほどの精度には達していないので、まずは計算の結果と実際の観測と照合して、さらにモデルを洗練させる、というのを繰り返す。気象と火山の数値シミュレーションは、天気予報という目標を持つ気象科学と、噴火予知という目標を持つ火山の科学、という部分でも似ている。

「具体的には、火山の下のマグマが貫入してくる過程ですとか、火道を上がってきたマグマがガスを出して爆発する過程をシミュレーションしたいわけです。地下の様子を10キロ×10キロ×10キロにわたって、3次元で表したいとします。あまり細かく考えると大変なので、100メートル×100メートル×100メートルぐらいを1単位の粒として表現します。ちょうど和菓子のきんつばみたいに、粒が詰まっているイメージです。で、それだけでも100万個の粒が必要になるんです。その100万個が3次元であっち行ったり、こっち行ったりするわけです。粒と粒の間は、バネみたいなものでつながっていて、つながりが強いところと弱いところがあります。弱いところにマグマが貫入してきたりするわけですね。マグマは、密度が違う粒だったり、液体の粒だったり、あと、その中にガスのあぶくが入って、減圧発泡っていうんですが、圧力が下がった時に、ガスが抜けていく様子をシミュレーションしたり。これ、本当に処理として重たくて、計算に時間がかかります。現実にすり合わせられるのが、10年ぐらいかかるんじゃないかと思ってますね」

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