第3回 富士山の噴火を怖がり過ぎずに済むこれだけの理由

「2000年の三宅島の噴火の後、伊豆半島や伊豆諸島の火山の下で、地震が活発化した時期がありました。富士山も例に漏れず、地震が活発になったんです。この震源の分布と時間変化を見てください」

(提供:藤田英輔)
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富士山の低周波地震回数(黒)と地震波動エネルギー(赤)。いずれも2009年9月16日までの積算(累計)値。(提供:藤田英輔)
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 震源の分布図は、たしかに富士山の真下だ。そして、2000年の7月を境にぱーっと地震が増えているのも分かる。

 図表には、低周波地震、と書いてある。

「普通の地震に比べて、波の動き方がゆっくり、ぬるぬるって動くのが低周波地震です。原因はまだはっきりわからないんですけど、多分、流体が移動するのが原因で起きるものだと。石がバリって割れるんじゃなくて、何かヌラヌラヌラって、ものが動いてる。例えばマグマがマグマ溜まりや火道の中を動いているとか。富士山のマグマ溜まりは、地震の波を利用するトモグラフィという手法で調べると、だいたい20キロの深さにあるだろうなっていうこともわかっていて、そのちょうど上の部分で低周波地震活動っていうのが起こっていると」

 火口近くでマグマが動くというのは、つまり、火山活動の源を捉えたようなところがあって、さぞかし緊迫したのではないだろうか。

「実際、2000年の時は、噴火するだろうと思っていて、スクランブル状態だったんです。その後、落ち着きましたが、2007年の7月からまた、1年間で非常にたくさん低周波地震が起きた時期があって、その時も何かが起きていたわけです」

 20世紀生まれのぼくにしてみると「富士山の噴火」というと、世紀末カルトっぽい雰囲気を感じてしまう。80年代から90年代にかけて、それこそ「ノストラダムスの大予言」ではないけれど、終末的な雰囲気が蔓延する中で、「富士山が大噴火するぞー」と大いに活用されたアイテムだから、どことなくサイエンスではない、というふうな印象を抱いていた。

 その点を聞いてみると、藤田さんは「確かにそうなんです」と言った。

藤田さんはキャリアの初期から富士山を見続けている。
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