第6回:ハッブルが明かしたヒミコの三つ目
この研究を始めてはや5年、幾多の困難を乗り越え、幸運にも助けられながら、130億年前の古代宇宙にあるヒミコをついに発見した。
ヒミコは、130億年前の天体とは思えないほどの明るさで輝いている。手元にあるスピッツァー宇宙望遠鏡の近赤外線データから見積もってみると、ヒミコの中にある星の全質量は数100億太陽質量にもなることがわかった。特に不思議なのは、ヒミコの大きさである。ヒミコは差し渡し5万5000光年と非常に大きく、当時の銀河の平均と比べて10倍程度になる。現在の銀河と同じくらいの大きさだ。一般に受け入れられている宇宙論モデル(ΛCDMモデル)によれば、宇宙では小さい構造が先に出来て、これらが重力により徐々に大きい構造へと成長していく。138億年の宇宙の歴史の初期に当たる130億年前には、大きく成長した天体は無いはずで、現在の銀河と同じくらいの大きさのヒミコがあったのは不思議だ。