第6回:ハッブルが明かしたヒミコの三つ目

 この研究を始めてはや5年、幾多の困難を乗り越え、幸運にも助けられながら、130億年前の古代宇宙にあるヒミコをついに発見した。

ヒミコの大きさを現在の銀河や130億年前の銀河と比べたもの。右上がすばる望遠鏡によるヒミコの画像。右下が130億年前の平均的な銀河のモノクロ画像(中央の黒い部分が銀河)。左側の二つが現在の銀河で、左から順に天の川銀河(イラスト)と星形成銀河M82。(イラスト:沼澤茂美[左]、写真:NASA, ESA, and The Hubble Heritage Team(STScI/AURA)[中央])
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 ヒミコは、130億年前の天体とは思えないほどの明るさで輝いている。手元にあるスピッツァー宇宙望遠鏡の近赤外線データから見積もってみると、ヒミコの中にある星の全質量は数100億太陽質量にもなることがわかった。特に不思議なのは、ヒミコの大きさである。ヒミコは差し渡し5万5000光年と非常に大きく、当時の銀河の平均と比べて10倍程度になる。現在の銀河と同じくらいの大きさだ。一般に受け入れられている宇宙論モデル(ΛCDMモデル)によれば、宇宙では小さい構造が先に出来て、これらが重力により徐々に大きい構造へと成長していく。138億年の宇宙の歴史の初期に当たる130億年前には、大きく成長した天体は無いはずで、現在の銀河と同じくらいの大きさのヒミコがあったのは不思議だ。

ヒミコの大きさと平均的な銀河の大きさを比較した図。平均的な銀河の大きさは、過去の宇宙(図の右側)から現在に向かうにつれて大きくなってきたことがわかる。ヒミコの大きさは、同時代の平均的な銀河の大きさの10倍程度であることが見てとれる。(図:「宇宙の果てはどうなっているのか?」(大内正己著、宝島社))
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