第2回 知られざるモグラの不思議

 なお、においを感知することについては、別の面白い発見も報告されている。モグラはわりと水に強くて、結構、泳ぐ。アメリカのホシバナモグラという、その名の通り星のような形の鼻を持ったモグラでの観察だ。

「水の中でエサ食べてるとこをスローで撮影しただけなんですけど、とんでもないことがわかったんです。鼻から息を吹き出して、鼻ちょうちんみたいなものを作ってから、また吸うんですよ。水の中で活動する哺乳類って、においを嗅がないっていうのが定説だったんですけど、ひょっとして、それをやっているんじゃないかと。生態学的というか、むしろ行動学的に、まだまだ我々が見逃してるような行動があると思いますし、いろいろ調べてみれば、面白いところっていうのはあるんだと思いますね」

 モグラが、水の中で匂いをかぐ。ホントかよ?? というレベルの話だ。

 モグラ博士が素描するモグラは、やはり謎のベールに包まれつつも、なんとも魅力的な生き物なのである。

コウベモグラ。
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つづく

川田伸一郎(かわだ しんいちろう)

1973年、岡山県生まれ。国立科学博物館 動物研究部 脊椎動物研究グループ 研究主幹。農学博士。95年、弘前大学理学部生物学科卒業後、同大学院を経て、98年、名古屋大学大学院生命農学研究科入学。1年間ロシア科学アカデミーシベリア支部留学した後、2002年、農学博士号取得。04年度日本哺乳類学会奨励賞を受賞。『モグラ―見えないものへの探究心―』(東海大学出版会)、『モグラ博士のモグラの話』(岩波ジュニア新書)などの著書がある。

川端裕人(かわばた ひろと)

1964年、兵庫県明石市生まれ。千葉県千葉市育ち。文筆家。小説作品に、少年たちの川をめぐる物語『川の名前』(ハヤカワ文庫JA)、天気を「よむ」不思議な能力をもつ一族をめぐる、壮大な“気象科学エンタメ”小説『雲の王』(集英社文庫)(『雲の王』特設サイトはこちら)、NHKでアニメ化された「銀河へキックオフ」の原作『銀河のワールドカップ』『風のダンデライオン 銀河のワールドカップ ガールズ』(ともに集英社文庫)など。最新刊は、ニュージーランドで小学校に通う兄妹の冒険を描いた『続・12月の夏休み──ケンタとミノリのつづきの冒険日記』(偕成社)。
本連載からは、「睡眠学」の回に書き下ろしと修正を加えてまとめたノンフィクション『8時間睡眠のウソ。 ――日本人の眠り、8つの新常識』(日経BP)、「昆虫学」「ロボット」「宇宙開発」などの研究室訪問を加筆修正した『「研究室」に行ってみた。』(ちくまプリマー新書)がスピンアウトしている。
ブログ「カワバタヒロトのブログ」。ツイッターアカウント@Rsider