第2回 知られざるモグラの不思議

「仮剥製を見ても分かったと思いますけど、びっしりと毛が生えています。体に対しほぼ垂直に生えているという珍しいものです。狭いトンネルを前進するのも後ろにいくにも引っかからないようになっているわけです。結構やわらかくて、持つと気持ちいいんですよ。あと、ぱっと見、手が大きくしっかりしています。親指の外側に張り出した鎌状の骨があって、これで手の面積が大きくなって、効果的に土をかけるようになっています。その時の腕の動きは、平泳ぎするかんじですね。手のひらがそれぞれ外側を向くようになっていて、ほかの多くの哺乳類が前肢を接地させるようになっているのとはまったく違います」

 モグラは地面の下で、平泳ぎをしている! それも、親指の外側の鎌形の骨だとか、ほかの哺乳類には見られない特徴があって、いかに地面の下の生活に適応しているのかがよく分かる。

地面の下で「平泳ぎ」するためのモグラの手。(関連記事:「動物たちの奇妙な手:モグラ」)
[画像のクリックで拡大表示]

 さらに、感覚器官はどうなのだろう。地下の生き物だから、光が届かない。ここも独特の適応を果たしているはずだ。

「よく工事中の看板なんかでモグラがサングラスをした絵が出ていますけど、実はモグラにはサングラスは必要ないんです。目が閉じてしまっていて、光は感じるけど物の形などは見えないようです。光に当たると死んでしまうという話がありますが、そんなことはありません。じゃあ、目を使わずにどうやっているかってことですが、要は体の触覚器官みたいなものがとっても発達していると考えられていますね。鼻にはアイマー器官というものがあって、細かい振動をキャッチできます。あと、最近、においをちゃんと認知してるってことがわかってきました。これ、アメリカの研究者の実験なんですが、鼻の片方をふさいじゃったんですよ。それで真正面にエサを置いて、どこを探すか観察したら、ちょっとずれるんですね。で、逆の鼻をふさいだら、今度、逆にずれるって。だから、左右のにおいの強度も認知しながら、エサに向かっていってるようです」