第4回 乾き、光が強く、荒涼たる大地へ

 何につけ、ドキュメンタリーの仕事は、相手に敬意を払うという意識を常に持っていないとうまくいきません。カメラを持つと、どうしても自分の思惑を優先して踏み込んでいきがちですが、それをやると相手は本来の姿を見せてくれませんからね。

 僕は1995年にイスラムの聖地、メッカとメディナを撮影していますが、その前年にイスラム教に入信したんですよ。異教徒にはいろいろな制約があり、モスクに入れないという事情もあったのですが、入信は撮影のためばかりではありません。

 僕に最初に信仰の意味深さを気づかせてくれたのはサハラの遊牧民で、イスラム教徒でした。その教義もよく知っていましたから、入信することに異和感はありませんでした。むしろ、そのことが相手への共感を示すことになったのでしょうね。メッカと並ぶイスラームの2大聖地のひとつであるメディナは、先方からの依頼で、今も撮影に行っています。

――最後に、野町さんは「日経ナショナル ジオグラフィック写真賞」の審査員長も務めています。ドキュメンタリー写真家を目指す人にアドバイスをお願いします。

 現実をいえば、若い人がドキュメンタリー写真で食べていくには厳しい時代になりましたね。デジタルカメラの時代になって、誰にでもそこそこの写真は撮れるようになって、プロとアマチュアの垣根がなくなっています。

イフラーム(巡礼着)を着てハッジを取材 サウジアラビア 1995年
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