――実際に目にしたサハラ砂漠は、どうだったのですか。

 圧倒されました、そのスケールの大きさに。延々と、砂また砂の世界ですからね。砂漠は一度行って嫌になる人も多いんですよ。でも、僕は肌に合ったんです。荒涼とした風景も、乾いた空気の透明感も。

 これまで中国の西域やイラン、アラビアなどいろいろなところに行きましたが、スケールの壮大さにおいて、サハラに勝る場所はないと今でも思っています。1972年から75年までは、毎年サハラへ行っていました。そうしてまとめた写真集『SAHARA』が1978年にイタリアの出版社から刊行されるのですが、それが僕の出世作になりました。

 信仰との出会いもサハラでしたね。砂漠の遊牧民たちが砂にぬかずいて礼拝する姿に心打たれました。当時の僕にとって、宗教や信仰は縁遠い世界でしたから、逆に衝撃を受けたのだと思います。

――1987年8月号の『ナショナル ジオグラフィック』英語版で「Oasis of Art in the Sahara」と題し野町さんの写真が使われています。アルジェリアのタッシリ・ナジェール山脈にある有名な岩絵を題材にしたものですね。

サハラに長期滞在していたころ。アルジェリア、タッシリ・ナジェール 1975年
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