第8回 高井研 ♪もしも〜「ちきゅう」が〜使えたなら♪

 そんなIODP第331次航海から派生するさまざまな研究成果の積み重ねは、ボディブローのように我が国の海底資源開発の方向性策定に影響を与えてきたのではないかと思います。それが長年にわたる地道な研究活動やロビィ活動と結びつくことによって、2014年4月からJAMSTECが中心機関となって国家的プロジェクト「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)次世代海洋資源調査技術(海のジパング計画)」が始まりました。

 この「海のジパング計画」では3つの達成目標や実施項目が挙げられており、その一つが「海底資源の成因に関する科学的研究」です。特に海底熱水鉱床とコバルトリッチクラスト・レアアース泥がどのように深海底やその海底下で形成されるのかを明らかにすることを目的としています。そして、(ここが重要なポイントですが)そのために必要とあらば「ちきゅう」を使って深海掘削研究やるべし!とブルルンと意気込んでいるのです。

「海のジパング計画」始動に併せて、関係者の間で「開始早々に一発花火を打ち上げるか」という機運が高まってきました。そして「海底資源の成因に関する科学的研究」を効率よく速やかに進めるために、IODP第331次航海で巨大な海底下熱水循環の存在が予想されている伊平屋北熱水域の熱水循環と熱水鉱床成因の関連性を明らかにする「ちきゅう」を使った掘削調査をすべしという決定がなされたのです。こうして「海のジパング計画」による「ちきゅう」沖縄トラフ熱水掘削航海(CK14-04)が2014年7月9日から26日にかけて行われることになりました。

 もちろん純粋な科学研究を目的とするIODPとは別の意味で、海底資源開発を目指す「海のジパング計画」にもそりゃもう義理やしがらみや竹中直人的ムニャムニャ(WOWOWドラマ「海に降る」の海底資源研究をゴリ押しするワルモノです)はたくさんあります。とはいえ、IODP第331次航海ではできなかった巨大な海底下熱水循環の解明や技術的挑戦、そして新たな人工熱水噴出孔の創造のような「やりたかったけどやり残したこと」に再チャレンジできるチャンスが巡ってきたわけです。さらに「海のジパング計画」として「やるべきこと」を120%完遂すれば、その先にあるIODP第331次航海でやりきれなかったサイエンスを展開することもできるのです。

 これはまさに「到底叶いそうもない願望」と思っていた「もしもちきゅうが使えたなら」の状況と言えるでしょう。