第1回 江口”Nobu“暢久 「研究支援統括(EPM)」って何?~その1~

 僕が行っている研究支援統括(Expedition Project Manager、EPM)の仕事は簡単に言うと、次の三つにまとめられる。(1)科学者側と掘削技術者側の橋渡し、(2)科学掘削航海のプランニング、(3)幼稚園の先生(?)。冒頭のエピソードは(1)に当たる仕事である。

 乗船する研究者たちは最大限の成果を出そうと、限られた航海時間の中で、あれもこれもと欲張ることになる。サンプルはもっと欲しいし、質の良いデータをできるだけたくさん取りたい。我々、JAMSTEC地球深部探査センターは「ちきゅう」のオペレーターだ。科学掘削を行うために建造された「ちきゅう」をフルに使って、研究者に最高の研究を行って欲しい。それはもちろんそうなのだけど……。

 時には、無謀なリクエストがあり、あるいは天候や掘削状況でリクエストを叶えられないことがある。また、全体の時間配分や予算配分も考えなくてはいけない。そういうときに、掘削サイドの状況および今後の展望を科学者サイドが理解できるように伝え、逆に科学者サイドの要望を、掘削サイドに理解してもらえるように伝えるのが、EPMの仕事だ。

 このやりとりは、航海を計画する時から続いているのだが、最終的には、「ちきゅう」船上での最後の調整がものをいう。両サイドを深く専門的にわかっているわけではないが(どちらかというとEPMは科学者サイド)、両側のエッセンスを間違いなく理解して、両者を同様にリスペクトして初めてできる調整だ。

ハイテクな研究区画を持っているにも関わらず、研究者たちは床にプリントを広げて議論することが多い。(提供:JAMSTEC)
ハイテクな研究区画を持っているにも関わらず、研究者たちは床にプリントを広げて議論することが多い。(提供:JAMSTEC)
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 特に、オペレーションが進まないときに、なぜ進まないのか、この後、何が起き(るはずで)、それは科学計画にどんな影響を与えるのか、正しく、タイムリーに研究者に伝えなくてはいけない。1日最低1回の全体会議がそのチャンスであり、僕は必ず1回は笑いを取るようなプレゼンを心がけることにしている。

 IODP 第343次航海(2012年4~5月)で、研究者たちを前に、オペレーションの説明をしているNobu研究支援統括。果たしてこの日は笑いを取れたのか?(提供:JAMSTEC)
IODP 第343次航海(2012年4~5月)で、研究者たちを前に、オペレーションの説明をしているNobu研究支援統括。果たしてこの日は笑いを取れたのか?(提供:JAMSTEC)
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