本書の内容
1991年から6年間にわたり、米国アイダホ州で、オオカミの群れがくらすエリアにテント建てて寝起きし、観察をつづけた夫妻による記録。2人の記録はありのままのオオカミの姿を捉え、オオカミへの憎悪を生んだ根強い誤解を払拭し、全米の世論を動かすまでに至った。
本書では6年のあいだに2人が目にした行動や事件について、ときに他の研究事例を参照しつつ、温かな眼差しで綴られる。
各章ごとに、オオカミが仲間を思いやる心、チームワーク、遊び、他者への敬意、好奇心、群れの文化、弱者への慈しみなどについて、ソートゥース・パックや他の群れのエピソードを挙げて軽快に語っていく。
アルファのカモッツとチェムクをはじめ、ソートゥース・パックを構成するオオカミのキャラクターはみな魅力的で、まるで隣でオオカミたちがじゃれあっているような気分になるだろう。
目次
ソートゥース・パックのオオカミたち
序文──マーク・ベコフ
はじめに
1 信頼をかちとる──ジム
2 家族第一主義──ジェイミー
3 群れを率いる慈愛心──ジム
4 ひとりは全員のために──ジェイミー
5 遊びごころはいつまでも──ジム
6 幼き者に教え、老いたる者を敬う──ジェイミー
7 いつだって好奇心──ジム
8 相手に寄りそう──ジェイミー
9 いつくしむ心──ジム
10 鏡のなかのオオカミ──ジェイミー
謝辞
ソートゥース・パック年表
著者について
リビング・ウィズ・ウルブズについて
本書のサンプル画像






著者紹介
ジム&ジェイミー・ダッチャー
米国アイダホ州のソートゥース山地でテント生活を送りながら、6年間にわたりオオカミの群れ3世代とともに暮らす。2人がオオカミの生態を観察し世に公表したことが、米国でオオカミ保護へと世論が高まるきっかけとなった。オオカミの生態に迫ったドキュメンタリー番組がエミー賞で3部門を受賞。長年にわたりナショナル ジオグラフィック協会で野生動物の写真や映像の撮影をおこない、アラスカでのオオカミ調査にも派遣されている。2006年にオオカミ存続の危機を伝え、継続的な保護を目指してNPO「リビング・ウィズ・ウルブズ」を設立した。著書に『オオカミたちの隠された生活』(エクスナレッジ)がある。