米国の飢えの実態を調べると、あり得ないような現実に驚かされる。冷蔵庫にケチャップとマスタードしか入っていない状態が当たり前になっている家庭が、たくさんあるのだ。飢えに苦しんでいるのは、農場労働者や不法移民だけではない。定年退職した元教師もいれば、建国当時の入植者の血を引く生粋の米国人もいる。

食事に事欠く人は、2012年には全米で4800万人に達した。これは1960年代末の5倍に当たり、90年代末と比べても57%増えている。フードバンクなど民間の支援事業も次々に生まれてはいるものの、6人に1人が1年に1回は食料不足に陥っているのが米国の現実だ。多くの欧州諸国では、この割合は20人に1人程度である。

米国に広がる「新たな飢餓」の深層に迫った。

太っていても栄養失調/料理する時間がない/健康的な食生活は手間がかかる
なぜ野菜の値段は高いのか/生鮮食品を買えない家庭/「食の砂漠」に囲まれて
空腹を満たす支援/農業補助金が食生活に及ぼす影響

※ナショナルジオグラフィック日本版 2014年8月号掲載記事