本書の内容
バチカン改革に挑む初の南米アルゼンチン出身教皇フランシスコ。
その発言や行動が常に注目される庶民派教皇の素顔と日常をいきいきと描写。
ナショジオ本誌2015年8月号カバー特集「バチカンは変わるのか? ローマ教皇の挑戦」取材時の撮り下ろし写真に、教皇の言葉を添えて、新生バチカンを目指す教皇の知られざる姿を明らかにする貴重なビジュアル書籍。
目次
- はじめに
- 新生バチカン
- 異彩を放つ空間
- 教皇フランシスコのあゆみ
- 家族と教皇フランシスコ
- バチカンの伝統
- 多様な儀式
- 変わりゆく世界
- 人々に愛される教皇
- 聖人と罪人(図解)
- カトリック人口の推移(図解)
- 歴代教皇一覧
- 謝辞
- クレジット
教皇フランシスコに密着(画像クリックで拡大)
予想もしない突然の教皇選出と、すぐに始まった改革
Part 1 新生バチカン
「すぐにでも変革を起こしたい」。2013年5月下旬のある朝、教皇フランシスコは友人たちにこう話した。南米アルゼンチン出身の無名のホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿がバチカンのコンクラーベ(教皇選挙)で教皇に選出され、一躍時の人になってから2カ月ほどが過ぎた日のことだ。場所は、バチカンの城壁内にある教皇の質素な居所「聖マルタの家」。そこにいたのは、故郷ブエノスアイレスから教皇を訪れていた旧友6人だ。教皇のふと漏らした言葉に感激こそすれ、別段驚きはしなかった。教皇フランシスコはすでに、一夜にしてすべてを変えてしまったのだから。
いつでも教会を慈悲と希望のあふれる場所にしましょう
Part 2 異彩を放つ空間
2000年の歴史が刻まれたバチカンは、物心ともにキリスト教世界の基盤だ。毎年、何百万もの人々がここを訪れ、息をのむほど美しいサンピエトロ大聖堂や、隣接する広場へと足を運ぶ。そこで目にする宗教儀式や優れた美術品の数々は、まさにこの場所を神聖な空間にする。バチカン宮殿の王宮の間「サラ・レジア」からスイス衛兵の宿舎まで、バチカンは尽きせぬ驚きの宝庫だ。
彼は人に説くだけでなく自ら実践するスラムの司祭だった
Part 3 教皇フランシスコのあゆみ
2013年3月14日の朝、米国ワシントンDC郊外のショッピングモールのベンチで、中年の男が声をあげて泣いていた。男はすすり泣きながら妻にiPadを差し出した。「このニュースを見てくれ。ホルヘ神父が教皇になったんだ」。半世紀近く前の1964年、男はアルゼンチン・サンタフェ州のインマクラーダ・コンセプシオン学園で、ホルヘ・マリオ・ベルゴリオの生徒だった。ホルヘ神父と慕われていたその人は、文学と哲学の教師にはとどまらず、生徒の家族のことを気にかけ、生徒と夢を語り、サッカーや女の子の話題をともに楽しむ27歳の新米教師だった。
若者に希望を取り戻させ、老人を助け、明るい未来と愛を広めましょう
Part 4 家族と教皇フランシスコ
教皇フランシスコは、共存の基盤である家族こそが変わらぬ信仰の中心であるとする。愛、終生の支え合い、誠実さが大切と説きながら、家族は人類が生きていく上でなくてはならないものだと呼びかける。それに呼応するかのように、新婚家庭や何世代かにわたる家族が教皇に助言を求めにくる。
資料としても楽しむ(画像クリックで拡大)
読者の声
- バチカン内部にまでよく入れたものだと思います。(71歳、男性)
- カトリック教会の権力ある法王の面だけではなく、現代社会の全人類に接する一人の法王の姿に感動しました。多くの珍しい写真からも、親しみを感じました。(84歳、女性)