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【4月9日】命を懸けて前線を守る(アフガニスタン バダフシャーン州)/28歳のアブドゥル・ワハブ(右)と17歳のファルハードは、カルサイ山脈の前哨基地を守っていたが、この3カ月後に命を落とした。彼らを含む、近くの村の出身者を中心とした総勢150人の政府側の民兵たちは、タリバンの侵攻を食い止めようと守りを固めていた。だが、7月2日の週末にタリバンがこの地を制圧。ワハブとファルハードのほかに17人が殺害され、25人が捕虜となった。(写真 = キアナ・ハイェリ)
【写真が記録した2021】 対立・紛争
2021.12.28
世界各地で、文化、政治、土地などの問題をめぐって争いの炎が燃え上がった。そして米国では民主主義が攻撃され、人種差別との闘いが続いている。
争いと立ち直る力
絶え間なく衝突が起きるなか、生き延びた人々の物語は歴史から学ぶことがどれほど大切かを痛切に教えてくれる。
* * * * *
パンデミックが始まって2年になるが、世界では数十もの争いが続いている。世界の紛争のデータ収集と分析を行う「武力紛争位置・事象データ・プロジェクト(ACLED)」によると、2016年以来、数万件にのぼる戦闘や暴動、爆発、抗議活動、市民を標的にした暴力により、毎年10万人以上が命を落としてきた。
2021年には、イスラム主義勢力タリバンがアフガニスタン全土を掌握し、20年ぶりに政権を奪還。イスラム原理主義組織ハマスはイスラエルを攻撃し、報復としてイスラエルはガザ地区を空爆した。エチオピアでは、北部のティグライ州における内戦により、深刻な食料不足が起きた。
米国では連邦議会議事堂に暴徒が突入したほか、警察官が黒人を殺害する事件が相次ぎ、抗議デモが再燃した。また、母国での紛争や飢饉、自然災害を逃れて米国境にたどり着いたハイチ移民が乱暴な扱いを受けた。
アフガニスタン カブール
”20年もの間、世界中の国々がやって来て金がつぎ込まれましたが、それがどのように私たちの役に立ったというのでしょうか? ”
̶ハジ・アダム(カンダハル州の部族の長老)
米国 ワシントン
”彼らに痛めつけられ、殴られました。頭部を何度もスタンガンで攻撃されたんです”
̶マイケル・ファノン(コロンビア特別区首都警察警察官)
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