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【8月26日】炎に包まれた森林(米国 ラッセン国有林)/2021年、カリフォルニア州で発生した山火事の消火に当たる消防士。数カ月続いたこの火災は約40万ヘクタールを焼き尽くした。近年、北米西部で森林火災の頻度と規模が増しているのは、気候変動による高温と乾燥が草木の水分を奪い、燃えやすくなっていることが一因だ。解決策の一つが、野焼きの導入範囲を広げること。管理された状態で林床の落ち葉や茂みを焼いておけば、火災が起きても火が燃え広がりにくくなるという。(写真 = リンジー・アダリオ)
大規模な森林火災、干ばつ、記録的な猛暑、氷河の融解、海面の上昇、猛烈な暴風雨。何年も前から警鐘は鳴らされていたが、2021年は気候変動が見過ごせない現実であることが示された年となった。
「あとはもっと多くの人に手伝ってもらうだけです」
気候変動の影響は恐ろしいが、2人の専門家は世の中の人々の動きに希望を見いだしている。
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気候変動を食い止めようと努力してきたこの数十年間には、大きな転機となったと思われる瞬間が何度かあった。1992年には、ブラジルで開かれた国連環境開発会議で各国の行動の枠組みが採択され、2015年には、温室効果ガスの排出量を制限する目標を定めたパリ協定が締結された。排出量はその後も増え続けたが、20年に新型コロナウイルスの対応策として各地でロックダウンが行われると、化石燃料の使用の減少に伴って7%も減った。
だが21年になると排出量は再び増加し、気候変動に関する議論も高まりを見せた。果たしてこの1年で、気候に対する世論の大転換は起きたのだろうか。ライターのアレハンドラ・ボルンダと私(ナショナル ジオグラフィック編集者のロバート・クンジグ)は、米国の自然保護団体ネイチャー・コンサーバンシーの主任科学者を務めるキャサリン・ヘイホーと気候変動関係のベストセラー作家であるキャサリン・ウィルキンソンの2人の専門家に話を聞いた。
ケニア レワ野生動物保護区
サバクトビバッタを駆除するために、2020年と21年で200万ヘクタールを超えるエリアに殺虫剤が散布された。
̶FAO
インドネシア プルウォサリ
”生命と財産が海面の上昇によって脅かされても、この土地の人々は順応してきました”
̶アジ・スティヤワン(写真家)
南極 ネコ湾
”ざっくり言って、アデリーペンギンとヒゲペンギンがそれぞれ1羽減るごとにジェンツーペンギンが1羽増える計算です”
̶トム・ハート(英オックスフォード大学の生物学者)
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