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【8月26日】炎に包まれた森林(米国 ラッセン国有林)/2021年、カリフォルニア州で発生した山火事の消火に当たる消防士。数カ月続いたこの火災は約40万ヘクタールを焼き尽くした。近年、北米西部で森林火災の頻度と規模が増しているのは、気候変動による高温と乾燥が草木の水分を奪い、燃えやすくなっていることが一因だ。解決策の一つが、野焼きの導入範囲を広げること。管理された状態で林床の落ち葉や茂みを焼いておけば、火災が起きても火が燃え広がりにくくなるという。(写真 = リンジー・アダリオ)

【写真が記録した2021】 気候変動

2021.12.28

大規模な森林火災、干ばつ、記録的な猛暑、氷河の融解、海面の上昇、猛烈な暴風雨。何年も前から警鐘は鳴らされていたが、2021年は気候変動が見過ごせない現実であることが示された年となった。

この記事は雑誌ナショナル ジオグラフィック日本版2022年1月号に掲載された特集です。定期購読者の方のみすべてお読みいただけます。

「あとはもっと多くの人に手伝ってもらうだけです」

 気候変動の影響は恐ろしいが、2人の専門家は世の中の人々の動きに希望を見いだしている。

 * * * * *

 気候変動を食い止めようと努力してきたこの数十年間には、大きな転機となったと思われる瞬間が何度かあった。1992年には、ブラジルで開かれた国連環境開発会議で各国の行動の枠組みが採択され、2015年には、温室効果ガスの排出量を制限する目標を定めたパリ協定が締結された。排出量はその後も増え続けたが、20年に新型コロナウイルスの対応策として各地でロックダウンが行われると、化石燃料の使用の減少に伴って7%も減った。

 だが21年になると排出量は再び増加し、気候変動に関する議論も高まりを見せた。果たしてこの1年で、気候に対する世論の大転換は起きたのだろうか。ライターのアレハンドラ・ボルンダと私(ナショナル ジオグラフィック編集者のロバート・クンジグ)は、米国の自然保護団体ネイチャー・コンサーバンシーの主任科学者を務めるキャサリン・ヘイホーと気候変動関係のベストセラー作家であるキャサリン・ウィルキンソンの2人の専門家に話を聞いた。

<span style="font-size: 15px;">3月23日 サバクトビバッタの強襲</span><br><span style="font-weight: bold; color: #777;">ケニア レワ野生動物保護区</span>
3月23日 サバクトビバッタの強襲
ケニア レワ野生動物保護区
2019年から21年にかけ、サバクトビバッタの大群が東アフリカ一帯の作物を食い荒らし、数百万人が飢餓の危機にさらされている。猛烈なサイクロンが降らせた大量の雨によって、繁殖に最適な環境が生まれたことが背景にある。気候変動によってエルニーニョに似た現象が起き、東アフリカ沖の西インド洋に暖かい海水が送り込まれてサイクロンが発生しやすくなったのだ。「アフリカの北東部では、今後もバッタの大量発生が起きるでしょう」と、国連食糧農業機関(FAO)の専門家キース・クレスマンは話す。(写真 = デビッド・チャンセラー)

サバクトビバッタを駆除するために、2020年と21年で200万ヘクタールを超えるエリアに殺虫剤が散布された。
̶FAO
<span style="font-size: 15px;">4月22日 水浸しの家で暮らす</span><br><span style="font-weight: bold; color: #777;">インドネシア プルウォサリ</span>
4月22日 水浸しの家で暮らす
インドネシア プルウォサリ
中部ジャワ州の北部沿岸に暮らすサリとヨセプが、床上浸水した自宅でテレビを見る。一帯は高潮によって定期的に冠水し、地盤沈下と海面上昇で2013年以降に3000ヘクタールを超す土地が失われた。二人は建設作業員で、西ジャワ州から移り住んできた18年当時は、こうした状況に驚いていたが、もう慣れたと話す。19年に発表された研究では、現在2300万人が暮らすこの地域では、50年までに毎年、洪水に見舞われると予測されるという。(写真 = アジ・スティヤワン)

”生命と財産が海面の上昇によって脅かされても、この土地の人々は順応してきました”
̶アジ・スティヤワン(写真家)
<span style="font-size: 15px;">1月13日 温暖化に順応する</span><br><span style="font-weight: bold; color: #777;">南極 ネコ湾</span>
1月13日 温暖化に順応する
南極 ネコ湾
クジラの脊椎骨の周りに巣を作る南極半島のジェンツーペンギン。骨は一帯で捕鯨がさかんだった頃の名残だ。南極の冬の気温は1950年から6℃も上昇した。世界全体の平均の5倍以上の数字だ。海氷の季節は以前より約3カ月も短くなった。沖へ出てオキアミを捕り、海氷に依存して生きるヒゲペンギンやアデリーペンギンは個体数を減らしている。だが順応性の高いジェンツーペンギンは、氷の消えた海岸や海域で順調に繁殖し、個体数は1980年代の6倍に増えた。(写真 =トマス・P・ペシャック)

”ざっくり言って、アデリーペンギンとヒゲペンギンがそれぞれ1羽減るごとにジェンツーペンギンが1羽増える計算です”
̶トム・ハート(英オックスフォード大学の生物学者)

次ページ:異常気象で振り返る2021年

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