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ワフラの町にある種馬の飼育場。クウェートでは、純血種のアラブ馬の繁殖が盛んに行われている。飼育場の隣には、古代ローマの円形闘技場のレプリカが建てられている。(PHOTOGRAPHS BYGABRIELE CECCONI, PARALLELOZERO)
「極端の国」クウェート、砂漠と莫大な富は人々をこう変えた 写真16点
2022.07.07
ペルシャ湾の北端に位置する、中東の首長国クウェートは、さまざまな点で「極端な国」だ。夏の気温は世界最高水準で、降雨量は世界最低水準。淡水はほとんど存在しない。国土の大部分が砂漠に覆われ、耕作に適した土地は1%を下回る。
一方で、その砂の下には世界第7位の埋蔵量を誇る石油が眠り、クウェートの莫大な富の源になっている。ペルシャ湾岸のほかの産油国と同じように、この国もオイルマネーによって派手な消費文化が花開いた。
イタリア人写真家のガブリエーレ・チェッコーニ氏は、2019年に初めてクウェートを訪れた時、想像していた保守的な文化のイメージとあまりにかけ離れた現実を見て衝撃を受けた。同氏は以前バングラデシュで、国籍のないロヒンギャ難民を取材し、難民問題が環境に与える影響に光を当てた。その後、同じように無国籍の「ビドゥーン」と呼ばれる人々を取材するために、彼らが住むクウェートにやってきたが、そこでチェッコーニ氏は取材の方針を変えることにした。(参考記事:「国籍がないまま生まれるロヒンギャの赤ちゃん」)
「バングラデシュでの私の目的は、極限状態にある人々が環境に与える影響について知ることでした。クウェートでは、極限の環境が人々に与える心理的なインパクトについて取材したいと思いました」
かつてクウェートは貧しい国だった。1930年代に油田が発見される前、主な輸出品は真珠で、国民の多くは港湾取引や漁師の仕事に従事したり、遊牧民として暮らしたりしていた。エネルギー産業が発展し、1991年の湾岸戦争後に西側諸国との結びつきが強まると、少しずつ外国の価値観が入り込むようになり、それに伴って生活が豊かになった。現在、およそ130万人の国民が享受するぜいたくな暮らしは、低賃金のサービス業に従事する300万人以上の外国人労働者によって支えられている。(参考記事:「その数300万人以上、日本はすでに「移民社会」」)
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