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オスのソウゲンライチョウは、他のオスと群れになって「ブーミング」という求愛行動をとる。オスがメスにアピールすると、メスは集まって1度に8~20羽のオスを審査する。写真はテキサス州コールドウェル動物園のソウゲンライチョウ。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE)

3万種が暮らす米国のユニークな動物たち、バイソンから毒トカゲまで 写真11点

2022.07.19
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 米国ではこれまでに、3万2000種を超える動物が確認されている。そこには何千種もの甲虫が含まれているほか、たった1種の有袋類(キタオポッサム)もいる。北米の動植物を調査している組織「ネイチャーサーブ」によると、そのうち7000種以上が米国だけに生息する固有種だという。もっと多いと考える研究者もいる。

 米国固有であろうと、米国に立ち寄るだけの動物であろうと、これらの動物を隣人と呼べることは米国の誇りだ。ユニークな動物たち11種を、絶滅から動物を守る写真プロジェクト「PHOTO ARK(フォト・アーク、写真の箱舟)」の写真家ジョエル・サートレイによるポートレートとともに紹介しよう。

最近の研究では、ビッグホーンやジャコウウシのような動物は、頻繁に強い力で頭突きをすることで、神経に損傷を受けることが示唆されている。写真はデンバー動物園のロッキーマウンテンビッグホーンのオス。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE)
最近の研究では、ビッグホーンやジャコウウシのような動物は、頻繁に強い力で頭突きをすることで、神経に損傷を受けることが示唆されている。写真はデンバー動物園のロッキーマウンテンビッグホーンのオス。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE)

頑固さと粘り強さの象徴、ビッグホーン

 切り立った崖を、まるで公園を散歩するように移動するビッグホーン(オオツノヒツジ)。湾曲した巨大なツノをもつことから、オスのビッグホーンは頑固さと粘り強さの象徴とされている。繁殖期の序列を決めるため、オスは1年の半分を競争相手とのツノのぶつけ合いに費やしている。(参考記事:「なぜ?脳を損傷しても頭突きを繰り返すジャコウウシ」

 シカのツノは頑丈な骨でできているが、ビッグホーンのツノは、ケラチン(ヒトの髪の毛や爪と同じタンパク質)で骨の芯が覆われている。また、ビッグホーンのツノは抜け落ちないため、木の年輪のように、ツノにある黒い筋を数えることで、オスの年齢を知ることができる。

米国を代表する哺乳類アメリカバイソン。間違ってバッファローと呼ばれることも多いが、英語でバッファローはスイギュウやアフリカスイギュウを指す。写真はオクラホマシティ動物園の個体。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE)
米国を代表する哺乳類アメリカバイソン。間違ってバッファローと呼ばれることも多いが、英語でバッファローはスイギュウやアフリカスイギュウを指す。写真はオクラホマシティ動物園の個体。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE)

絶滅しかけた「平原の王」、アメリカバイソン

 体重が1000キロにもなるアメリカバイソンは平原の王であったが、開拓者による乱獲によって絶滅の危機に瀕した。北米先住民が何世紀にもわたって持続的に狩猟してきた5000万頭以上のアメリカバイソンは、1889年にはわずか数百頭に激減した。

 その後、飼育下における繁殖計画と国立公園や保護区での再導入によって、野生の個体数は米国で2万頭以上に増えた。もし運良くアメリカバイソンがうろついているのを見かけても、近づいたりしないように。大きくてノロノロ動くように見えるかもしれないが、時速56キロで走ることができる。(参考記事:「バイソンを「国の哺乳類」に指定、米国」

 アメリカバイソンとともに米国の草原に暮らしているのが、冒頭の写真で紹介したソウゲンライチョウだ。メスにアピールする時期になると、オスは複雑な求愛行動をとる。首にある鮮やかな黄色の気囊を膨らませ、「ブーン」という低く響く鳴き声を出し、足を地面に叩きつけ、まるで必死にタップダンスを踊っているかのように見せる。たまらなく魅力的だ。(参考記事:「ほぼ絶滅した鳥が復活へ、ある男の30年の努力」

ハワイモンクアザラシ(写真はミネソタ動物園であくびをしているところ)は、野生で約1400頭が生存していると考えられている。生涯の約3分の2を水中で過ごし、上陸するのは、生まれたばかりの子の世話や休息、日光浴をするときくらいだ。交尾でさえも海で行う。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE)
ハワイモンクアザラシ(写真はミネソタ動物園であくびをしているところ)は、野生で約1400頭が生存していると考えられている。生涯の約3分の2を水中で過ごし、上陸するのは、生まれたばかりの子の世話や休息、日光浴をするときくらいだ。交尾でさえも海で行う。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE)

荒波をゆく犬、ハワイモンクアザラシ

 ハワイの先住民はハワイモンクアザラシを、「荒波をゆく犬」を意味する「イリオホロイカウアウア」と呼んだ。一方、18世紀の科学者は丸い頭と滑らかで黒い毛皮に修道士(モンク)の姿を思い浮かべた。

 2018年、数頭の若いハワイモンクアザラシの鼻にうなぎが突き刺さっているのが目撃されたことで、この動物は世界的に話題になった。ハワイ諸島にのみ生息するハワイモンクアザラシは、サンゴ礁で獲物をあさって生きている。驚くことに、この捕食者には16本しか歯がない。ヒトの歯の本数の半分だ。しかし、魚や甲殻類、頭足動物を主食とするハワイモンクアザラシにとっては、十分な数なのだろう。

次ページ:毒をもつトカゲから絶滅危惧種まで

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