Photo Stories撮影ストーリー

ドイツ:南西部に位置するビュルテンベルク地方で、女性たちが穀物を刈り取り、束を集めていく。(写真:HANS HILDENBRAND)
この記事は雑誌ナショナル ジオグラフィック日本版2022年7月号に掲載された特集です。定期購読者の方のみすべてお読みいただけます。
幻想的な雰囲気を醸し出す初期のカラー写真法、オートクローム。この画期的な技法が記録した20世紀初頭の世界を旅してみよう。
世界初の実用的なカラー写真の技法が、フランスのリュミエール兄弟によって編み出されたのは1907年のこと。カラー写真はそれ以前から存在していたが、工程が面倒で複雑だった。オーギュストとルイの兄弟がたどり着いた、発色のカギとなる成分はジャガイモのでんぷんだった。
エジプト
有名なギザの三大ピラミッドと付属の埋葬施設を望む。こうした遺構は紀元前2550年から2490年頃に造られたとされる。(写真:JULES GERVAIS COURTELLEMONT)
赤、緑、青の光を混ぜれば、あらゆる色を再現できるということは、1861年に証明されていた。それを踏まえ、オートクロームという手法では、3色に染めたジャガイモのでんぷんの小さな粒子でガラス板を薄く覆い、フィルターを作った。それに乳剤の層を重ね、ガラス板を反転させて露光。すると色を再現したカラー写真ができ上がる。