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ボリビアの地方の街では、カラフルな「ポリェラ」が先住民のアイデンティティーとなっている。ポリェラは、先住民のアイマラ族やケチュア族の女性が身に着けてきたボリュームのあるスカートのことだ。しかし、このスカートは同時に、先住民差別の象徴にもなってきた。(参考記事:「ボリビア、伝統衣装まとう女性たちの肖像10点」)
そんな中、ある女性アスリートのグループがチョリータ(先住民女性)の文化遺産をたたえようと、ボリビアの街にポリェラを復活させた。ポリェラを着たスケートボーダーのグループだ。
「私にとって、ポリェラはとても大切なものです」。こう語るデイシ・タクリ・ロペスさん(冒頭の写真)は、2019年に結成されたイミリャスケートのメンバーだ。「私は誇りを持ってポリェラを着ています」
タクリさんとチームメートは、何時間にもわたってスケートボードの練習をする。ターンをしたり、ジャンプをするたび、膝丈のスカートは美しく膨らむ。
ポリェラの起源は16世紀、スペインによる征服までさかのぼる。ポリェラはもともと、植民地支配者が先住民を識別しやすいよう、スペインの貧困層の服装に合わせて強制した衣装だった。だが、やがてアンデスの伝統衣装の一部になり、高地の先住民女性であるチョリータと関連づけられるようになった。
上の写真はポリェラを着たアイマラ族のジョセリン・ブレンダ・ママニ・ティンタさんと母親のルシア・ロスメリ・ティンタ・キスペさん。白い帽子をかぶったマリア・ベレン・ファハルド・フェルナンデスさんは理学療法士を目指す学生で、グループの最年少だ。スケートボードのバランス感覚と技の難易度に魅了され、4年前から練習を始めた。
先住民女性の伝統的な帽子を試着するイミリャスケートのメンバー。イミリャスケートの立ち上げメンバーであるダニエラ・サンティバニェスさんによれば、チームメンバーはポリェラをパフォーマンスのために着用しており、必ずしも普段着ではないという。「私たちはデモンストレーションとして、インクルージョン(社会から排除されず受け入れられている状態)を求める叫びとして、ポリェラを着ています」
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