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【6月21日】地方の隅々までワクチンを届ける(インド トサマイダン)/カシミール地方の都市スリーナガルの南西に位置するトサマイダンの牧草地で、ナジル・アーメドが羊飼いや遊牧民を探す。手に提げているのは新型コロナワクチンの入った保冷ボックスだ。ウイルスの拡大を食い止めるため、医療従事者は辺境の村にも入る。アーメドは6人の同僚とスリーナガルから車で3 時間走り、さらに徒歩でここまでやって来た。彼らは4時間歩き回り、10人以上にワクチンを接種できた。(写真 = ダール・ヤシン、AP PHOTO)
2021年はパンデミックに振り回された1年だった。ワクチン接種が始まり、経済活動を再開できるとの期待が高まったが、接種は思うように進まなかった。以前の日常生活が戻りつつあるとはいえ、ウイルスの脅威はいまだ続いている。
失われた機会
新型コロナウイルスの変異株の出現とワクチン対応のばらつきが日常生活の回復を遅らせている。
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2021年は新型コロナウイルス感染症を克服した勝利の年になると思われた。驚異的な速さでワクチンが完成すると、史上類を見ない全世界規模の接種が始まった。ロックダウン、ソーシャルディスタンス、マスク着用といった光景は過去のものとなり、国境が開かれ、家族が再会し、経済が息を吹き返して、日常生活が戻るとの期待が高まった。
そのワクチン接種がつまずくとは、誰も予想していなかった。米国では、冬と夏に感染者が急増したにもかかわらず、数百万人が接種を受けなかった。研究が進むにつれてこの感染症への対応が変わっていったために、疑念がふくらんだのだ。誤情報と怪しげな噂がウイルス並みの速さで広がる。ワクチンは政府の統制手段であり、マスク着用を強いるのは自由の侵害だと声を上げる人たちもいた。その一方で、世界の多くの地域ではワクチンの入手すらできなかった。
米国 ワシントン
”仲間たちと行進して、ハワードでの大学生活を締めくくることができた”
̶トラビス・エグゼイビア・ブラウン(ハワード大学卒業生)
インドネシア 北ジャカルタ
”このウイルスがどのように広がり、いかに危険なのかを皆わかっていないのです”
̶イルマ・ヒダヤナ(インドネシアで新型コロナのデータを収集する団体LaporCovid-19の共同創設者)
台湾 台北
”市民は日常生活を何とか維持しようと懸命に努力しています”
̶林亦非( 写真家)
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