Photo Stories撮影ストーリー

2021年1月6日、米国議会議事堂の外で警備にあたる警察官。2020年の大統領選で落選したドナルド・トランプ前大統領の支持者たちが、この日選挙結果に抗議するため、首都ワシントンDCに集まっていた。(PHOTOGRAPH BY ADAM FERGUSON)
でも、暗いニュースばかりではない。なかには、人々に希望を与えてくれる話題もあった。教皇フランシスコは、ローマ教皇として史上初のイラク訪問を果たし、長年の紛争で深い傷を負った国で、「心の慰めと傷の癒やし」を願い求めた。
人種差別撤廃運動が吹き荒れた米国では、アフリカ系米国人にとって3つの大きな節目となる出来事があった。米ミネソタ州ミネアポリスでは、黒人のジョージ・フロイドさんの死をめぐり、元警察官のデレク・ショービン被告が有罪評決を受けた。
バージニア州リッチモンドでは、数カ月の抗議運動と訴訟の末、南北戦争時代の英雄ロバート・E・リー将軍の銅像が撤去された。(参考記事:「設置から130年、南北戦争の「英雄」像ついに撤去 写真10点」)
奴隷制度維持派だった南軍を率いたリー将軍の像は、多くのアフリカ系米国人にとっては人種差別の象徴だった。またオクラホマ州タルサでは、5月31日、タルサ人種虐殺事件の100周年を記念した式典が開かれた。数十年の間、歴史から消され、忘れられていた事件だ。
同様に過去の差別を明らかにしようと活動してきたアメリカ先住民にとっても、今年は大きく前進した年だった。100年以上前に、ペンシルベニア州カーライルの寄宿学校で死亡したラコタ族の子ども9人の遺骨が、6年におよぶロビー活動の結果、今年ようやくサウスダコタ州へ戻され、先祖代々の土地に埋葬された。
米国にはかつて、先住民の子どもたちを白人社会へ強制的に同化させることを目的とした寄宿学校が各地に存在していた。ところが、学校では虐待や病気が蔓延し、多くの子どもたちが命を落としていた。カーライルの学校には、39年間で1万人が入学させられたが、数百人が生きて戻らなかったとされている。(参考記事:「かつての寄宿生が語る、カナダによる先住民同化教育の過去」)
ほかにも、世界では今年1年間様々なことがあった。私たちの人生を形作るこれらの重要な出来事を、ナショナル ジオグラフィックの写真とともに振り返ってみよう。
おすすめ関連書籍
豪雨、豪雪、暴風、干ばつ、極寒、稲妻など、世界各地で見られる天変地異。迫力のある写真と、それぞれの状況を伝えるわかりやすいキャプションで、読む人に畏怖の念を抱かせる1冊。
定価:2,970円(税込)