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東南アジアへ移住した中国人にルーツを持つ文化グループ、プラナカンの名残は、都市国家シンガポールのいたるところに見ることができる。プラナカンの古い住宅を改装した博物館「ストレイト・エンクレーブ」は、19~20世紀初頭に繁栄したプラナカン社会の骨董品、遺物、茶などの文化的活動の記録を伝えている。(PHOTOGRAPH BY ORE HUIYING)

シンガポールで生まれ、今も息づくプラナカン文化とは 写真19点

2022.01.02
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 シンガポールには「プラナカン」と呼ばれる人々が暮らし、独自の文化を育んできた。では、プラナカンであるとはどういう意味か。一般には中国人とマレー人を祖先にもつ人とされるが、中国、マレー、そして西洋の美学、遺産、価値観がカラフルに融合したその文化を定義するのは容易ではない。

 1980年代、子どもだった私(筆者のRachel Ng氏)は、歴史の授業でその鮮やかな融合文化について学び、旧正月には同じプラナカンの叔母が腕を振るったごちそうを頂いた。

 美しい木彫りのドアや明るい花模様が描かれた、古い「ショップハウス」の街並みを歩き、高層ビル群の合間になぜ魔法のような古い世界の建物が存在しているのだろうと気になったものだ。

シンガポールのジョー・チャット地区に点在するプラナカンのショップハウス。(PHOTOGRAPH BY ORE HUIYING)
シンガポールのジョー・チャット地区に点在するプラナカンのショップハウス。(PHOTOGRAPH BY ORE HUIYING)
プラナカンの伝統的なかんざし「ククク・サングル」を髪に差す女性。(PHOTOGRAPH BY ORE HUIYING)
プラナカンの伝統的なかんざし「ククク・サングル」を髪に差す女性。(PHOTOGRAPH BY ORE HUIYING)

 現代のシンガポールにも、プラナカンのデザインを見かける。だが、こうしたデザインを作った人々のアイデンティティは、長い間謎に包まれていたと言っていい。大まかなルーツこそ中国南部と言われているものの、プラナカンという自覚があるシンガポール人ですら、はっきりとした定義を持たず、彼らの伝統の背後にある豊かな歴史を説明することができないからだ。

 最近になって、DNAプロファイリングにより、シンガポールで暮らすプラナカンの祖先について、新たな知見が得られた。シンガポール・ゲノム研究所の研究に基づき、プラナカン・チャイニーズは、やはり中国人とマレー人を祖先に持つ人々であることが確認された。そして「プラナカンである」というとき、それは民族というよりも文化的意味合いを強く持つことも明らかになった。プラナカンの遺伝的アイデンティティと、その長い歴史に新たな光を当てた研究で、東南アジアに住む中華系移民とその子孫への理解は今後ますます深まるのではないかと期待される。

2021年8月、ストレイト・エンクレーブ博物館の絵画教室で、伝統的なブラウス「バジュ・ケバヤ」とサロンを着て絵を教えるキャスリーン・イン氏。(PHOTOGRAPH BY ORE HUIYING)
2021年8月、ストレイト・エンクレーブ博物館の絵画教室で、伝統的なブラウス「バジュ・ケバヤ」とサロンを着て絵を教えるキャスリーン・イン氏。(PHOTOGRAPH BY ORE HUIYING)

 プラナカンという名称の起源は15世紀に遡る。伝説によると、中国の皇女がマラッカ(現代のマレーシアにある港町)の君主へ嫁ぎ、彼女が引き連れてきた側近男性たちは現地の女性と結婚した。その子どもたちを、マレー語で「現地生まれ」と言う意味のプラナカンと呼んだという。

 こうした初期のプラナカンは、その後そこから240キロ南下したシンガポールや北の港町ペナンへ移り住んだ。

19世紀のプラナカン・タウンハウスを改装した博物館NUSババ・ハウスに展示されている調度品。(PHOTOGRAPH BY ORE HUIYING)
19世紀のプラナカン・タウンハウスを改装した博物館NUSババ・ハウスに展示されている調度品。(PHOTOGRAPH BY ORE HUIYING)
NUSババ・ハウスに展示されている木彫りのドア。(PHOTOGRAPH BY ORE HUIYING)
NUSババ・ハウスに展示されている木彫りのドア。(PHOTOGRAPH BY ORE HUIYING)

次ページ:プラナカンは文化的アイデンティティ

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