Photo Stories撮影ストーリー

ロラン・バレスタ氏が撮影したマダラハタの貴重な繫殖行動の写真は、「水中」部門と、同コンテストの大賞であるワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。フランス出身のバレスタ氏は、フランス領ポリネシアのファカラバ環礁で、放出された卵と精子が雲のように広がる中から現れたマダラハタを撮影した。(PHOTOGRAPH BY LAURENT BALLESTA, WILDLIFE PHOTOGRAPHER OF THE YEAR)
海の中で、新しい命が爆発する瞬間をカメラがとらえた。ここはフランス領ポリネシアのファカラバ環礁。繫殖行動を終えたハタが、卵と精子の「雲」の中から現れた決定的瞬間だ。
繫殖行動は、めったに見られるものではない。このマダラハタの場合は年にたった1度、7月の満月前後の夜、わずか30分の間にすべては終わる。ナショナル ジオグラフィックにも写真を提供している写真家のロラン・バレスタ氏は、その瞬間をとらえるために3000時間を費やした。(参考記事:「襲撃するサメ集団、産卵するハタ、驚異の光景に密着3000時間」)
「Creation(創造)」と名付けられたこの写真は、ロンドン自然史博物館主催の野生生物写真コンテスト「ワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー」の大賞に輝いた。
審査委員長のロズ・キッドマン・コックス氏はプレスリリースで、「魔法の瞬間」をとらえた作品と評している。「驚き、エネルギー、魅力にあふれ、この世のものとは思えない美しさがあります」
博物館長のダグ・ガー氏も、次のようにコメントした。「今のまま人類が地球に与える影響を放置していたら、何を失うことになるのかを思い出させてくれる、力強い写真です」
今年で57回目となる「ワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー」は、フォトジャーナリズム部門やポートレート部門など19の部門で賞が授与される。今年は世界中から5万点の応募があったという。審査員は、革新性、物語性、技術力を評価基準とした。
ヤング・ワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤーを受賞したのは、インドのヴィドュン・R・ヘバル君(10歳)だ。ドーム状の巣の中で日向ぼっこするスズミグモを間近で撮影した。背景を通過する三輪タクシーが、虹色の光を投げかけている。
ワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー、過去の受賞作品集
「2020年の受賞作15点」
「2019年の受賞作15点」
「2018年の受賞作14点」
おすすめ関連書籍
世界最高峰のネイチャー写真賞「ワイルドライフフォトグラファー・オブ・ザ・イヤー」50周年を記念して出版した「世界一の動物写真」のアップデート版。
定価:3,960円(税込)