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2021年9月8日、米バージニア州リッチモンドにあった南軍の将軍ロバート・E・リー将軍の像が撤去された。この12トンの銅像は、1890年にモニュメント・アベニューに設置された。最高裁判所の判断を受けて撤去作業が行われると、歴史的瞬間を目撃しようと集まった人々から歓声が上がった。リッチモンドは、南北戦争期に南軍の首都だった町だ。(PHOTOGRAPH BY AMR ALFIKY, NATIONAL GEOGRAPHIC)
9月8日、米バージニア州リッチモンドにそびえていたロバート・E・リー将軍の銅像が撤去された。
バージニア州は、19世紀の南北戦争で奴隷制度を支持する南部の州として戦った。その州都リッチモンドの大通り「モニュメント・アベニュー」を象徴していたのが、かつての南軍司令官リー将軍像だった。
今回の撤去により、像をめぐる100年以上にわたる混乱の歴史に終止符が打たれたことになる。人種問題の清算を目指す米国にとっても、大きな節目となる出来事だ。(参考記事:「ギャラリー:世界で相次ぐ「英雄」の銅像撤去 写真11点」)
午前9時前、1890年に建てられた12トンの騎馬像が台座からつり上げられると、歴史的瞬間を目撃しようと集まった人々から歓声が上がった。高さ約6メートルの銅像は、作業員のカウントダウンとともに台座から取り外された後、腰の部分で2つに切断され、撤去された。
同州のラルフ・ノーサム知事は、「南部の『失われた大義』を賛美する遺物は、撤去しなければなりません」と話した。AP通信は、「バージニアにとって新しい日、新しい時代となることを願っています」という知事の言葉を伝えている。
銅像は、最終的な処分が決まるまで保管される予定だが、その保管場所は明らかにされていない。昨年夏、ミネソタ州ミネアポリスでジョージ・フロイドさんが警官に首を押さえつけられて死亡した事件を受け、全米で抗議が広がるなか、ノーサム知事はこの像の撤去を表明していた。