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写真撮影の問題の一部は、私たちが持っているシンプルな道具で解決することができる。(PHOTOGRAPH BY REBECCA HALE, NATIONAL GEOGRAPHIC)

スマホの光を使って印象的な写真撮影、ナショジオ写真家が伝授 写真7点

2020.12.30
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身近なスマホやタブレットの光を使えば、よくある撮影の悩みが解決できることがある。ナショジオの写真家レベッカ・ヘイルが伝授する。

 この8カ月間、私は家族3人の写真ばかり撮り続けてきた。3月にパンデミックで旅行ができなくなってから、私たちは家にこもり、旅行の計画も浮かんでは消えるばかり。世界がすっかり小さくなってしまったようだ。

 これまで私は写真家として、自分の生活圏を離れた土地や人々など、外の世界に目を向けようとしてきた。その意味で自宅は、インスピレーションをかきたてる場所ではなかった。だが、最近では多くの人々と同様に、日常生活に刺激を見いだそうと考えるようになった。自分の心を健全に保ち、世界各地に出かけられるようになる日に備えるためだ。

 そんな私が着目したのは、思いがけない光源を自由な発想で利用する試みだ。頼もしい撮影ツールがいつもポケットに入っていることに気づいた私は、このスマートフォンやタブレットをデジタル一眼レフカメラの光源に利用し、一日かけて家族の写真を撮影してみた。

 撮影をしながら、旅行中によくある撮影の問題を解決するのに、自分のアプローチが応用できないかと思いを巡らせた。

名案が浮かぶ

 ナショナル ジオグラフィックの仕事では、通常、私はスタジオで撮影している。そこでは、いくつものフラッシュ、ソフトボックス(光を拡散させる機材)、モディファイヤー(光を調整する機材)などを使用できる。こうした使い慣れた機材や刺激的な撮影地から離れた私は、独創性を発揮することにした。

 私が試してみたところ、タブレットやスマホの光を利用すると、撮影時のやっかいな問題の多くを解決できることがわかった。いつも成功するわけではないが、いくつかのポイントを覚えておけば、とても重宝するだろう。

 タブレットやスマホの画面は、昼光(昼間の自然光)ほど明るくないので、いつ、どこで撮影するかをよく考える必要がある。私の撮影テストでは、周辺の光を調整したり、画面の光の効果を最大限に発揮できる時間に撮影したりしている。また、露出を手動調整できるカメラを使用した。

 この記事で紹介する画像は、私の自宅や近所で撮影したものだ。撮影後に、フォトショップなどによる大幅な編集や加工は行っていない。光源として使うスマホやタブレットは、常に画面の明るさを最高にし、色かぶり(光源の色の影響で写真の色が偏ること)を避けるために画面の色は白に設定した(「MyLight—フラッシュライト」などのアプリが役立つかもしれない)。

 ここで、タブレットやスマホの光が助けになる撮影時の4つの問題を紹介する。家で練習して、次の旅行に備えよう。

問題:背景が雑然として主役が目立たない

 装飾が多いレストランやホテルなどでの撮影では、タブレットの光が問題を解決してくれる。iPadを被写体の顔に近づけ、露出をその光に合わせると、背景は暗くなり、柔らかくドラマチックな雰囲気の一枚になる。

ギャラリー:スマホの光で印象的な写真を、プロが教える撮影術 写真7点(写真クリックでギャラリーページへ)
息子にタブレットを持たせて顔近くに寄せてもらい、その光に露出を合わせて撮影した。(PHOTOGRAPH BY REBECCA HALE, NATIONAL GEOGRAPHIC)
このテクニックの効果で背景が暗くなり、心地よい光が顔を照らすポートレートになった。(PHOTOGRAPH BY REBECCA HALE, NATIONAL GEOGRAPHIC)

 タブレットの光は昼光より明るくできないので、むしろ薄暗い空間で最大の効果を発揮する。自宅の雑然とした部屋で、息子を撮影してみた。息子の顔を照らす光に露出を合わせると、周囲が暗くなり、このシンプルな道具だけでスタジオ写真のようなポートレートが完成した。

 被写体となる人にタブレットを近づけ、動かしながら光と影がどのように変化するか確認してみよう。このような家族写真の撮影は、光の作用を理解する上でも効果的だ。

次ページ:明るい光の影響で露出がうまくいかない場合は?

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