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2月3日 自分たちの力を取り戻す(ニュージーランド ワイタンギ):先住民族マオリの16歳のブロンウィン・クリフォードと仲間たち。1840年に約500人のマオリの首長と英国の間で結ばれた「ワイタンギ条約」の記念日を祝う行事に参加した。現代のマオリの若者たちは、植民地時代に奪われた先祖の土地の返還などへの支援を募るためにソーシャルメディアを活用している。(写真:アンドレア・ブルース)「さまざまな事情で口をつぐんでいる声なき人々に、声を上げる機会を与えるため、私はこの議事堂に立っています」̶ キリタプ・アラン(ニュージーランドの国会議員)

2020 闘い続けた1年

2020.12.25
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この記事は、雑誌ナショナル ジオグラフィック日本版 2021年1月号に掲載された特集です。定期購読者の方のみすべてお読みいただけます。

人種差別と長年にわたる社会の不平等を撤廃するため、世界中で人々が立ち上がり、正義を求めて声を上げた。

 2020年、世界は恐怖を相手にボクシングの試合のフルラウンドを闘い抜き、息を切らせて傷つきながらも、判定勝ちを手にしたと言えるだろう。危機に直面し、私たちは闘う決意をした。

 2020年は、「息ができない」という言葉が、患者であふれる世界中の病棟や、警察の暴力によって死者が出た路上で、さまざまな意味をもった年だった。だが私たちが拳を構えて立ち上がると、その言葉は悲痛な訴えからスローガンに変わった。

 ジョージ・フロイドという一人の男性の命が奪われたとき、怒りや深い悲しみのダムが決壊し、世界に革命が起きた。

 長年にわたる不平等に激しい怒りを示す者もいた。何カ月も続いた制約のある生活は、外へ出たいという思いを駆り立てた。気晴らしのためだけではない。声を上げるためだ。

 私たちは、自分の声を取り戻した。正義の名の下に一つになり、力を示したのだ。人々は集結し、その多くは、空気中の見えない敵から身を守る鎧としてマスクを着用した。

 2020年は、ルース・ベイダー・ギンズバーグ米連邦最高裁判事とジョン・ルイス米下院議員が亡くなるという手痛いボディーブローを受けた年でもあった。二人は平等を求める米国の闘いを体現していた。私たちは彼らの仕事を引き継ぐことを誓った。

 大統領選挙は、米国民がどれほど変化を求めているかを測る物差しとなった。2020年、私たちは正義を吸い込み、恐怖を吐き出す力を求めて、グローブも着けずに素手で闘ったのだ。

<span style="font-size: 15px;">4月1日 「自分たちで何とかしなくては」(ケニア ナイロビ)</span>
4月1日 「自分たちで何とかしなくては」(ケニア ナイロビ)
「フットワックス」ことミュージシャンのダニエル・オウィノ・オコが、自身の曲『感染予防したかい?』を、4歳の息子ジュリアン・オースティンと一緒に歌う。新型コロナウイルスが猛威を振るうなか、フットワックスはナイロビのスラム街である地元のキベラ地区で、感染予防対策を勧める歌を作って録音した。「私はこの地域のリーダーなので、現状を皆に知らせ、新型コロナウイルスから身を守るように促すのが務めだと思っています。自分たちで何とかしなくてはならないのです」(写真:ニコール・ソベキ)

参考記事:「ケニア:スラム街に訪れた深刻な事態(コロナ各国の現場)」
<span style="font-size: 15px;">8月28日 未来の世代のために立ち上がる(米国 ワシントン)</span>
8月28日 未来の世代のために立ち上がる(米国 ワシントン)
デモ行進に参加し、リンカーン記念堂の前に立つアレム(左)とヘラニ(中央)のベケル姉妹と、ベイザ・アンテネ。首都ワシントン地域に暮らしている。「デモに参加したのは、不公正にうんざりしているからです。未来の世代のために世の中を変えたい」とアレムは話す。ほかの多くの参加者からも同様の意見が聞かれた。「ジョージ・フロイドが殺されたことで、スイッチが入ったんです。仕事を早めに切り上げて抗議活動に参加するようになりました」とアンテネ。「皆の心に火がついたのです」(写真:ステファニー・メイ=リン)

参考記事:「「私には夢がある」キング牧師演説と同じ日、正義求める行進再び」

次ページ:正義を求め、変化を求めた

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