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4月23日 病院で物資が不足(米国 ボガルーサ):コロナ禍で備品が底を突く病院が相次ぐなか、一貫性のない政府の対応が事態を悪化させた。ここルイジアナ州のアワ・レディー・オブ・ジ・エンジェルズ病院では、医療用のN95マスクが不足。医師のジェラルド・フォレットは診察前に呼吸保護用マスクを着けた。新型コロナウイルスの感染者が治療されている陰圧室では、顔全体を覆うマスクで飛沫やエアロゾルをほぼ防ぐことができる。(写真:マックス・アギレラ=ヘルウェグ)「マスクなしで病室に入れば、命取りになりかねません」̶ マックス・アギレラ=ヘルウェグ
新型コロナウイルスの大流行、人種差別への抗議、森林火災……。人間の心の強さを試すような出来事が、次々に起きた。
英語の辞書を出版する米メリアム=ウェブスター社は毎年、同社のオンライン辞書で最も多く検索された単語を発表している。検索した人は必ずしも単語の意味を知らないわけではない。辞書の定義を確認することで、今起きている出来事を理解しようとしているのだ。2020年の初めから早春にかけては、apocalypse(世の終末)、calamity(災厄)、pestilence(疫病)、panic(パニック)といった単語がよく検索された。
春が過ぎ、黒人男性のジョージ・フロイドが白人警官による暴行で死亡する事件が起きると、racism(人種差別)の検索数が急増した。ほかにも、fascism(ファシズム)やempathy(共感)、警察に対して使われたdefund(予算取り消し)、9月にはmental health(心の健康)がさかんに検索されるようになった。
2020年、アフリカとアジアはバッタの大群に襲われた。そして今月号の校了を控えた時点で、世界の多くの地域では、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)は収束の兆しすら見えていなかった。生き延びた私たちも一時期、この1年全体が人間の感情の振れ幅を試す狂った実験のように思えたものだ。人々は時にはおびえ、勇敢になり、うろたえ、感謝し、悪意に満ち、悲しみにふけり、欲を捨て、希望を抱き、斜に構え、激怒し、毅然とした態度を見せた。相矛盾する感情が入り交じることもあった。2020年は、人間の感情がどれほど大きく揺れ動くか、まざまざと思い知らされた年だった。
「イスタンブールは、通り過ぎる人、訪れる人、住む人の心に深い印象を刻み、人をとりこにします。新型コロナのせいで、その魔力がほとんど失われました」
̶ エミン・オズマン
参考記事:「ギャラリー:新型コロナ危機下でも働く、世界の「不可欠な」人々 写真32点」

「どんなに頑張っても、サーマルカメラで体温を正確に測るのは難しいんです」
̶ ルハン・アグスティ
「夫をきちんと見送れなかったからつらい。臨終に立ち会うことも、葬式を出すこともできませんでした」
̶ エレイン・フィールズ
参考記事:「米国:コロナの悲劇は万人に等しくはなかった(コロナ各国の現場)」
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