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エレイン・フィールズの夫エディーは、新型コロナウイルス感染症の合併症で2020年4月にデトロイトで死亡した。(PHOTOGRAPH BY WAYNE LAWRENCE)

米国:コロナの悲劇は万人に等しくはなかった(コロナ各国の現場)

2020.11.04
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この記事は、雑誌ナショナル ジオグラフィック日本版 2020年11月号に掲載された特集です。定期購読者の方のみすべてお読みいただけます。

深刻な打撃を受けた全米の3都市で、新型コロナウイルス感染症や合併症によって愛する家族を失った人々を記録した。

 新型コロナウイルスの感染拡大が始まってからの数カ月間、私たちはいったいどれだけの数字を目にし、理解しようとしただろうか。確認された感染者数、リスクの高さ、感染する確率、日々更新される死者数など、数えればきりがない。

 パンデミックのニュースは、数字の洪水だ。デトロイト・メトロ・タイムズ紙の記者であるビバ・アダムスは、新型コロナウイルスが中国からヨーロッパに拡散し、米国に侵入し、ミシガン州に及ぶ間、次々と発表される数字を把握することに明け暮れた。デトロイトでは、3月の第2週に最初の感染者が確認され、その数日後、彼女の母親にせきの症状が表れた。

 写真家のウェイン・ローレンスは撮影のため、6月にアダムスに会った。彼女は新型コロナウイルス感染症で母親を失い、叔母と祖母も犠牲になっていた。アダムスはラジオやテレビに出演するたびに、怒りと悲しみをあらわにした。もし、流行の初期段階から政府が違う対応をしていれば、今も家族は生きていたかもしれないと訴えたのだ。

デトロイトのビバ・アダムスが、娘のマリア・ウィリアムスと孫のジアと一緒に写る。母親のエレイン・ヘッドは今春、新型コロナウイルス感染症の合併症で70年の生涯を閉じた。「健康ならば、まだ比較的若いと言える年齢です」とアダムスは言う。(PHOTOGRAPH BY WAYNE LAWRENCE)
デトロイトのイスラム神秘主義の指導者サリーム・ジョセフはウイルスに感染して入院していたが、その後、腎不全で死亡。死を悼む息子のユスフ(白い衣服)と孫のフムザ。(PHOTOGRAPH BY WAYNE LAWRENCE)
ルイジアナ州では、人口の3分の1が黒人だが、新型コロナウイルスによる死者の割合では3分の2を占めた。
セント・ジョン・ザ・バプテスト郡にある教会のアントワン・ジャスマン牧師。彼の両親は4月、新型コロナウイルス感染症によって数時間の差で相次いで世を去った。(PHOTOGRAPH BY WAYNE LAWRENCE)

「母を失うのは、とてもつらいことです」。パンデミックによる全米の死者が15万人を超えた7月末、アダムスは電話で語った。「でもそれ以上に、母が死者の1人として数えられることがやりきれません。母は単なる数字ではないのです。夢があり、やりたいことがあった、1人の人間です。それで母について知ってもらおうと決めました」

次ページ:残された家族の肖像

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