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ヨルダンは難民が最も多い国の一つ。ここアンマンの食料品店では、スーダン人が引換券を食料に換える順番を待っている。この国では外出禁止令と経済悪化により、難民が特に打撃を受けた。合法的な仕事の大半は、ヨルダン人以外は就けない。(PHOTOGRAPH BY MOISES SAMAN)

ヨルダン:都市封鎖の余波、困窮する難民(コロナ各国の現場)

2020.10.31
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この記事は、雑誌ナショナル ジオグラフィック日本版 2020年11月号に掲載された特集です。定期購読者の方のみすべてお読みいただけます。

ヨルダンにいる大量の難民に次々と苦難が降りかかる。大部分が感染は免れたが、失業や困窮からは逃れられなかった。

 政府は当初、国境、企業、学校など、ほぼすべてを閉鎖し、民間人は外出もできなくなった。完全なロックダウンは戦車と軍用トラックによって徹底され、食料品と医薬品を買いに行くことすら許されなかった。写真家のモイセス・サマンの自宅キッチンからは、全市に鳴り響くサイレンの音が聞こえた。彼は家族と屋内にとどまり、その後、外出禁止令が限定的に緩和されると、難民が暮らす場所を見に出かけた。

感染拡大への対応
ヨルダンで新型コロナウイルスの感染が最初に確認されたのは3月3日。16日目に厳しい方針が出され、19日目から3日間、24時間の外出禁止令が実施された。100日目までの死者は9人。(TAYLOR MAGGIACOMO AND IRENE BERMAN-VAPORIS, NGM STAFF. 出典: OXFORD COVID-19 GOVERNMENT RESPONSE TRACKER; EUROPEAN CENTRE FOR DISEASE PREVENTION AND CONTROL)

 ヨルダンには近年流入した難民が75万人ほどいて、キャンプや都市部の難民地区で暮らしている。ソマリアやスーダンのような遠方から来た者もいるが、大多数は内戦を逃れたシリア人だ。この春、サマンは難民たちを取材し、当初予想された感染者と死者の爆発的増加という最悪のシナリオが回避されたことを知った。ヨルダンでは厳格なロックダウンと徹底した濃厚接触者の追跡が、パンデミックを遠ざけたようだ。8月末の時点で、新型コロナウイルスによる死者は15人しか確認されていない。

砂漠のテント村に暮らすシリア難民の女性たちが、きちんと距離をとりながらユニセフからの支援物資の配布を待つ。一方、キャンプや都市部に密集して住む難民たちには、こうした社会的距離を保つのは難しい。(PHOTOGRAPH BY MOISES SAMAN)
パレスチナ人が多く暮らす地区で、呼びかけに応じた人を対象にウイルス検査が行われた。人口1000万人を超すヨルダンでは、8月末までの新型コロナウイルスによる死者は15人にとどまっていた。(PHOTOGRAPH BY MOISES SAMAN)
回診を前に、「国境なき医師団」の看護師が、新たな予防基準に従って防護服を重ねて着る。このアンマンのホテルには、術後の回復を待つ患者たちが収容されている。(PHOTOGRAPH BY MOISES SAMAN)

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