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聴診器、フェースシールド、防護服が、ベルギー西部のラ・ルビエールの病院の外に置き去りにされていた。救急車から救急治療室へと向かう途中、新たな感染を防ごうと、医師が脱ぎ去ったものだ。(PHOTOGRAPHS BY CÉDRIC GERBEHAYE)

ベルギー:逼迫する現場、闘う医療従事者(コロナ各国の現場)

2020.10.29
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この記事は、雑誌ナショナル ジオグラフィック日本版 2020年11月号に掲載された特集です。定期購読者の方のみすべてお読みいただけます。

新型コロナウイルス感染者をケアする医療従事者は疲れ果て、恐怖を口にするが、自分がやるしかないことはわかっている。

 医療スタッフの指示に従って、写真家のセドリック・ヘルベヘイはマスクとフェースシールド、防護服、二重の靴カバー、二重の手袋を身に着け、ブリュッセルの老人ホームで撮影に臨んだ。そこで、高齢の女性がウイルス検査をしに来た看護師の目をのぞき込み、「怖いわ」と言った。看護師は老人の手を取り、顔を近づけて、こう言った。私も怖いんです。彼女たちは、その日だけで150人近い検査を行った。検査が終わると、看護師はヘルベヘイに向き直り、疲れと強さと悲しみと怒りを含んだ声でこう語った。「この人たちにはほかの誰も近づけません。私がやらなかったら誰がやるのでしょうか?」

ラ・ルビエールの老人ホームで、おびえる入所者を押さえつけてウイルス検査を受けさせる。ベルギーの高い死亡率は、正式な診断や治療を受けないで亡くなった高齢患者の多くを、パンデミックによるものとして計上したのが理由の一つとされている。(PHOTOGRAPHS BY CÉDRIC GERBEHAYE)
ラ・ルビエールの病院で、CTスキャンを受ける患者の準備を手伝う医療技術者の顔に不安が表れている。5月下旬までに死者が9000人を超えたベルギーでは、その後、感染は一時収束したが、夏に再び拡大した(PHOTOGRAPHS BY CÉDRIC GERBEHAYE)
がん患者がラ・ルビエールの病院で放射線治療を受ける。ベルギーでも感染拡大の第1波の間、一部の病院が急患以外の対応をやめ、ほかの病気の患者のリスクを高めた。この女性は新型コロナウイルスに感染していた(PHOTOGRAPHS BY CÉDRIC GERBEHAYE)
ラ・ルビエールのティボリ病院で集中治療室の責任者を務めるイブ・ブカット医師。顔についたマスクの痕はしばらくの間、消えなかった。(PHOTOGRAPHS BY CÉDRIC GERBEHAYE)

次ページ:生きながらも大きな犠牲を払う人々

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