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毎年5月、米コンガリー国立公園の低地を照らし出すフォトゥリス属のホタルの一種Photuris frontalis。同期して光るホタルとして知られ、高速で一斉に明滅する。 (PHOTOGRAPH BY MAC STONE)

なぜか同期して光るホタル、米国の森で調査 写真7点

2020.06.22
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 米国サウスカロライナ州コンガリー国立公園のホタルは、不思議な才能をもっている。暗い森の中、ほぼ同じリズムでシンクロして明滅するのだ。

 このホタルは、フォトゥリス属の一種Photuris frontalis。北米に生息する125種のホタルのうち、同期して光ることが知られている種の1つだ。オスは背の低い草木に止まったり、低空を飛んだりしながら、メスを引き付けるために一瞬の輝きを放つ。しかし、この行動についてはいまだにほとんど解明されていない。(参考記事:「光る生き物の世界」

 2019年には、この現象を見ようと1万2000人以上が訪れたと、コンガリー国立公園の資源管理・研究の責任者デビッド・シェリー氏は話す。しかし今年は、新型コロナのパンデミックの影響で、年に1度のフェスティバルは中止になった。

ホタル(Photuris frontalis)の動きや光のパターンを調べるため、暗くしたテントに20匹を超えるホタルを放ち、360度ビデオカメラを設置した。ホタルが同期する方法と理由の謎を解明しようとしている。 (PHOTOGRAPH BY MAC STONE)

 一般の人々はがっかりしたかもしれない。だが、人がいないということは、研究者にとってまたとない機会だ。自然のままのホタルを観察し、データを集められる。ホタルにとっても、今年の夏はチャンスだ。全米の森で、光害や騒音といった邪魔がない状態で繁殖できる。生息域全域で数が減りつつあるホタルにとっては恵みとなるだろう。

 5月中旬、この非常事態のうちにホタルの光を記録、調査するため、研究者たちとナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーであるマック・ストーン氏のチームは、コンガリー国立公園で1週間以上を過ごした。

同期する求愛行動に加え、大きな目もPhoturis frontalisの特徴だ。 (PHOTOGRAPH BY MAC STONE)
ホタルを調べる米コロラド大学ボルダー校の科学者ジュリー・ヘイズ氏。新型コロナの影響でコンガリー国立公園は一部閉鎖されているが、ホタルの調査は許可された。ホタルの邪魔にならないように赤いヘッドランプを使っている。 (PHOTOGRAPH BY MAC STONE)

「人の影響を受けていないという点で最も自然なデータが得られるため、かなり期待しています」と、米コロラド大学ボルダー校の生態学とコンピューターサイエンスの研究者ジュリー・ヘイズ氏は話す。

 ストーン氏がこのプロジェクトに惹かれたのは、彼が撮影しているイトスギの原生林にこのホタルが生息しているからだ。今回のパンデミックで、ストーン氏はイベントや旅行の多くをキャンセルしたが、コンガリー国立公園を訪れたことは「その憂さを晴らす」ようなものだった、と同氏は言う。「光栄なことでした」

謎の探求

 5月、ヘイズ氏と米コロラド大学ボルダー校の同僚ラファエル・サルファティ氏は、コンガリー国立公園を訪れ、ホタルが点滅する様子を3Dビデオで録画した。この非常事態を有効利用できたことが嬉しかったと、シェリー氏は言う。「撮影できるのは、1年でこの時期だけなのです」

次ページ:生命にとって極めて重要な同期現象

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