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5月29日金曜、抗議デモ参加者がミネアポリス市警察の前に集い、警察官に膝で首を押さえ付けられて亡くなったアフリカ系米国人、ジョージ・フロイドさんのために正義を訴えた。(Photograph by David Guttenfelder, National Geographic)

「我々は傷ついている」 黒人拘束死、悲しみと怒りのミネアポリス 写真18点

2020.06.03
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 米ミネソタ州ミネアポリス市、5月28日夜。

 抗議デモによって車両が横転させられ、警察官がゴム弾や催涙ガスを発射し、警察署には火の手が上がる中、写真家デビッド・グッテンフェルダー氏は誰かがこう叫ぶのを聞いた。「私たちは傷ついている。私たちは傷ついている」

 言葉は混乱の中を突き抜けていくようだった。

 抗議デモは26日の夜から続いている。アフリカ系米国人のジョージ・フロイドさんが、ミネアポリス市警察の警察官に膝で9分近くも首を押さえ付けられ亡くなった日の翌日からだ。

 フロイドさんを逮捕し、死に追いやった4人の元警察官が働いていた警察署の外には、人種や年齢を問わず、多くの人々が抗議のために集まった。平和的な人もいれば、そうでない人もいた。誰もが怒り、悲しみ、何よりも傷ついていた。

ジョージ・フロイドさんが亡くなった場所にはチョークアートが描かれ、追悼のための品が道を埋め尽くしている。グッテンフェルダー氏によると、ここは厳粛で平和的な黙想の場となっているという。(Photograph by David Guttenfelder, National Geographic)
ジョージ・フロイドさんが亡くなった場所にはチョークアートが描かれ、追悼のための品が道を埋め尽くしている。グッテンフェルダー氏によると、ここは厳粛で平和的な黙想の場となっているという。(Photograph by David Guttenfelder, National Geographic)
フロイドさんの死を悼むミネソタ州民が置いていった花やキャンドルを、壁に描かれたフロイドさんが見つめる。(Photograph by David Guttenfelder, National Geographic)
フロイドさんの死を悼むミネソタ州民が置いていった花やキャンドルを、壁に描かれたフロイドさんが見つめる。(Photograph by David Guttenfelder, National Geographic)
46歳の父親であったジョージ・フロイドさんの家族と友人が、事件現場で悲しみに暮れる。(Photograph by David Guttenfelder, National Geographic)
46歳の父親であったジョージ・フロイドさんの家族と友人が、事件現場で悲しみに暮れる。(Photograph by David Guttenfelder, National Geographic)
警察官が抗議デモ参加者たちに接近する中、ダテル・ストローブさんが卒業証書を掲げる。友人のエイブリー・ルイスさん、タイタン・ハーネス=リードさんとともに、パトリック・ヘンリー高校の2020年卒業生だ。(Photograph by David Guttenfelder, National Geographic)
警察官が抗議デモ参加者たちに接近する中、ダテル・ストローブさんが卒業証書を掲げる。友人のエイブリー・ルイスさん、タイタン・ハーネス=リードさんとともに、パトリック・ヘンリー高校の2020年卒業生だ。(Photograph by David Guttenfelder, National Geographic)
セントポールからやってきたセドリナ・ベイカーさんが、5月25日にジョージ・フロイドさんが死亡した場所で写真を撮ってもらう。「この闘いには簡単には勝てません」と彼女は話す。「けれど、この数日間、支援や抗議ができたことで、これから必ず訪れるはずの変化に私も参加しているのだと感じます」(Photograph by David Guttenfelder, National Geographic)
セントポールからやってきたセドリナ・ベイカーさんが、5月25日にジョージ・フロイドさんが死亡した場所で写真を撮ってもらう。「この闘いには簡単には勝てません」と彼女は話す。「けれど、この数日間、支援や抗議ができたことで、これから必ず訪れるはずの変化に私も参加しているのだと感じます」(Photograph by David Guttenfelder, National Geographic)

「どの抗議者も、どの行動も、例外なく悲嘆によって突き動かされています」。グッテンフェルダー氏はそう言う。「この男性の死に対する悲嘆、そして人生を通して味わってきた痛みに対する悲嘆です」

 ミネアポリスにはこの週末、人種差別と警察による暴力に抗議するため、全米各地からデモ参加者が集まり道を埋め尽くした。グッテンフェルダー氏によると、ミネアポリスに渦巻くこうした怒りは、街に深く根付いた分断が背景にあるという。

「これは決して初めてのことではありません。似たようなことは何度もありました。有色人種に対する警察の暴力です」。しかし、抗議の規模は今や歴史的なものとなっている。州知事は陸軍による派遣の申し出は断ったものの、ミネアポリス州兵を総動員した。

28日の抗議デモで火が放たれた第3管区警察署に立つデモ参加者たち。フロイドさんの死に関連して、この警察署に勤めていた4人の元警察官が免職となった。(Photograph by David Guttenfelder, National Geographic)
28日の抗議デモで火が放たれた第3管区警察署に立つデモ参加者たち。フロイドさんの死に関連して、この警察署に勤めていた4人の元警察官が免職となった。(Photograph by David Guttenfelder, National Geographic)
28日夜、抗議デモ参加者たちが、第3管区警察署、道路に止められた車両、近隣の建物に火を放っていく。警察は群集にゴム弾や催涙ガスを発射した。(Photograph by David Guttenfelder, National Geographic)
ギャラリー:黒人拘束死、悲しみと怒りのミネアポリス 写真18点(写真クリックでギャラリーページへ)
ギャラリー:黒人拘束死、悲しみと怒りのミネアポリス 写真18点(写真クリックでギャラリーページへ)
29日早朝、燃える第3管区警察署の壁には、抗議デモ参加者たちへの支援を表明するグラフィティが描かれている。(Photograph by David Guttenfelder, National Geographic)

 グッテンフェルダー氏はミネアポリス在住。抗議活動が起こり始めた頃は、ナショナル ジオグラフィック誌に掲載するために米中西部で新型コロナの取材をしていた。20年に渡り世界各地で紛争写真を撮影してきた彼は、28日に帰宅後、自宅近くまで迫りつつある抗議活動を追っている。

 フロイドさんの首に膝を押し付けていたミネアポリス市警察の元警察官、デレク・ショービン容疑者は29日に逮捕、起訴された。最長20年の懲役刑に問われることになる。

次ページ:まるで紛争地帯

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