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米国ボルティモアの病院で看護師として働くローゼム・モートン氏が自分の名前を書き入れているのは、空気をろ過するマシンと接続して使用される保護具「PAPR(電動ファン付き呼吸用保護具)」のフード。このフードは、コロナウイルスのパンデミックが収まるまでの間、きれいに拭いて再利用される。(PHOTOGRAPH BY ROSEM MORTON)

新型コロナ、最前線で闘うナースの8日間 写真10点

2020.04.12
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出勤6日目:2020年3月26日(木)

メリーランド州の新型コロナウイルス感染者数:580

午前6時50分
 各廊下に個人用保護具の取り外しをサポートするスタッフが配置された。手術室のそばにあるデスクで、スタッフがPAPRを配布し、使用記録は厳密に管理する。1台もなくすわけにはいかない。「装着テストはもう受けた?」と人々がささやきあう。

手術室はパンデミック前よりも空いている。行われるのは緊急手術のみ、かつ個人用保護具が使用可能な場合に限られている。(PHOTOGRAPH BY ROSEM MORTON)
手術室はパンデミック前よりも空いている。行われるのは緊急手術のみ、かつ個人用保護具が使用可能な場合に限られている。(PHOTOGRAPH BY ROSEM MORTON)

出勤7日目:2020年3月28日(土)

メリーランド州の新型コロナウイルス感染者数:992
メリーランド州の新型コロナウイルス死亡者数:5

午後6時50分
 今日はもう1件、気道関連の手術がある。手術用マスクとキャップの上に、慎重にPAPRを装着する。手術着の上に薄っぺらな黄色のガウンを着て、いちばん小さな青い手袋をつかみ、手術室に入る。

2本の廊下が交わる場所で、鏡に映った自分の姿を撮影するモートン氏。ひとけのない廊下から、パンデミックの不気味さが伝わってくる。(PHOTOGRAPH BY ROSEM MORTON)
2本の廊下が交わる場所で、鏡に映った自分の姿を撮影するモートン氏。ひとけのない廊下から、パンデミックの不気味さが伝わってくる。(PHOTOGRAPH BY ROSEM MORTON)

午後7時
 外科医たちは準備が終わり、手術を早く始めたがっているが、技師が使うPAPRのフードがない。足りなくなったのだ。フードをかぶった別の看護師が代わりに入る。手術中、わたしたちは新しい方針や手順について話したが、いろいろなことが頻繁に変更されるので、情報が食い違う。何が正しくて何が間違っているのか、わからない。


出勤8日目:2020年3月31日(火)

メリーランド州の新型コロナウイルス感染者数:1660
メリーランド州の新型コロナウイルス死亡者数:18

午前6時25分
タイムレコーダーにIDカードを通すと、初めて見る画面がポップアップする。咳、喉の痛み、発熱などの症状はないかと尋ねている。わたしは「いいえ」をクリックし、「はい」と答えたらどうなるのだろうと考える。この先も「はい」と言わずに済むことを願う。

ローゼム・モートン氏は今も健康を保ち、ボルティモアで看護師として働いている。4月3日時点でメリーランド州の新型コロナウイルス感染者数は2758件、死亡者数42人、ボルティモアの死亡者数は4人だ。

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文、写真=ROSEM MORTON/訳=北村京子

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