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米国ボルティモアの病院で看護師として働くローゼム・モートン氏が自分の名前を書き入れているのは、空気をろ過するマシンと接続して使用される保護具「PAPR(電動ファン付き呼吸用保護具)」のフード。このフードは、コロナウイルスのパンデミックが収まるまでの間、きれいに拭いて再利用される。(PHOTOGRAPH BY ROSEM MORTON)

新型コロナ、最前線で闘うナースの8日間 写真10点

2020.04.12
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 新型コロナウイルスが勢いを増すなか、病院では医師や看護師、医療助手らが過酷かつ勇敢な仕事に取り組んでいる。米メリーランド州ボルティモアの看護師で、ナショナル ジオグラフィック・エクスプローラーの助成金を受ける写真家でもあるローゼム・モートン氏が、病院での8日間を記録した。


出勤1日目:2020年3月17日(火)

メリーランド州で最初のコロナウイルス症例が確認されてから:12日目
勤務先の病院に最初のコロナウイルス患者が入院してから:6日目

使い捨ての手術用キャップにこぼれた髪をたくし込むモートン氏。以前は布製のキャップを使っていたが、洗濯のために家に持ち帰ることでコロナウイルスを広げるリスクがあるためやめた。(PHOTOGRAPH BY ROSEM MORTON)
ロッカールームに貼られたシールが、1日1日をコツコツと積み重ねる大切さを思い出せてくれると、モートン氏は言う。(PHOTOGRAPH BY ROSEM MORTON)

午前6時
 急いで出勤の準備をしながら、ふと自分の習慣が変わっていることを思う。例えば、弁当箱は使い捨てのビニール袋になった。家に持ち帰るものを最小限にすることで、感染のリスクを減らすためだ。財布は持たず、ポケットにIDカード、ハサミ、ペンを詰め込む。

出勤の準備をするモートン氏と夫。夫は別の病院に勤める看護師。(PHOTOGRAPH BY ROSEM MORTON)

午前6時40分
 日の出前に病院に到着。正面の回転ドアは閉まっている。その前には「COVID対応」と書かれた看板。病院の従業員は、社会的な距離をとりながら無言のまま列を作り、横のドアからゆっくりと中に入っていく。通常通り診療を行える日も残り少ない。大半の事務スタッフはリモートワークに移行した一方で、現場のスタッフはまだ全員ここにいる。

午前11時30分
 ランチタイムはコロナウイルスの話題でもちきり。出産担当の看護師が救急外来に異動になったとか、別の病院では個人用の保護具が残り4日分だとか。みな同じことを考えているのだろうか。自分たちにとって、これは何を意味するのだろうか。(参考記事:「米国も圧倒的なマスク不足に、備蓄が必要数の15%」


出勤2日目:2020年3月18日(水)

メリーランド州の新型コロナウイルス感染者数:85

面会が禁止され、手術の大半が中止になり、閑散とした病院。(PHOTOGRAPH BY ROSEM MORTON)

午前6時55分
 今日から手術は緊急のものだけ行われ、その他はすべてキャンセルだ。おかげでいつも以上に人手がある。わたしは手術室看護師として神経外科医のアシストに入る。神経外科はお気に入りの科のひとつ。そういえば、わたしが手伝う手術の多くは緊急性の高いものだ。もしかするとわたしは、COVID-19による混乱の影響をあまり受けずに済むかもしれない。

午後12時
 スタッフの多くが仕事を早めに終え、この先どうなるのだろうと考えている。長年、日雇いスタッフとして働いてきたわたしは、自分が役に立てることを示さない限り、就業時間を削減されるのは時間の問題だ。

モートン氏は仕事の前後に手術着を替える。以前はバッグを持ち歩いていたが、今は簡単に拭ける、必要なものだけをポケットに詰めている。(PHOTOGRAPH BY ROSEM MORTON)
手術に備えて手を洗うモートン氏。(PHOTOGRAPH BY ROSEM MORTON)

午後8時30分
 看護師の夫が、彼のユニットで初となるコロナウイルス感染が強く疑われる患者のケアをして帰宅。夫は主任看護師で、今日は患者の世話をする必要はなかったが、多くの同僚が神経をとがらせていることを感じ取った夫は、自ら看護を志願。彼の行動は、今まさに世界中の医療従事者がやっていることの好例だ。


休日:2020年3月19日(木)

 院内の別の役割にまわる気はあるかとメールが来る。「はい」と返信。

次ページ:何かが起こりつつある

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