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登山の初心者だったバーバラ・ウォッシュバーンは、本人曰く「たまたま登山家になった」が、いくつかの記録を残すことになった。(PHOTOGRAPH BY BRADFORD WASHBURN, NAT GEO IMAGE COLLECTION)

初登頂を連発した女性登山家、その魅力的な人物像 写真10点

2020.03.12
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 世界の山で女性初登頂を次々に達成していった米国の登山家バーバラ・ウォッシュバーン。だが、彼女が登山を始めるきっかけは偶然だった。

 1939年、彼女は郵便配達人に紹介されて、米ニューイングランド自然史博物館の館長だったブラッドフォード・ウォッシュバーンの秘書の仕事に就いた。それは魅力的な仕事ではなかった。「あの狭くて古くさい博物館で働くのはイヤだった。山登りに夢中な変わり者の下で働くのも気が進まなかった」のだ。(参考記事:「特集ギャラリー:道を拓いた女性たち(2020年3月号)」

北米最高峰に近いデナリ・パスを眺めるバーバラ・ウォッシュバーン。彼女はヘイズ山とデナリの両方に登頂した初の女性となった。(PHOTOGRAPH BY BRADFORD WASHBURN, NAT GEO IMAGE COLLECTION)

 1年後、キャンプもしたことがなかった若いバーバラはその「変わり者の登山家」と結婚、米国アラスカ州にある標高3110メートルのバーサ山の頂に立っていた。犬たちを連れ、バックパックを背負って1カ月にわたった遠征は、嵐に足止めされ、険しい道に悩まされた。夫のブラッドフォードは「バーバラが登頂に成功したことの方がうれしい。女性としては30年ぶりのアラスカ未踏峰登頂だ」というメッセージをAP通信社に送った。

ヘイズ山の標高2800メートル地点で食事をとるバーバラ・ウォッシュバーン(右から2人目)と登山隊。(PHOTOGRAPH BY BRADFORD WASHBURN, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
ギャラリー:初登頂を連発した女性登山家バーバラ・ウォッシュバーン 写真10点
食料を計測して袋に詰めるバーバラ・ウォッシュバーン。おそらく次の登頂の準備中の光景。(PHOTOGRAPH BY BRADFORD WASHBURN, NAT GEO IMAGE COLLECTION
バーバラ・ウォッシュバーンとブラッドフォード・ウォッシュバーン。バーバラが秘書に応募してすぐに結婚し、その後ずっと一緒に山に登ることになった。(PHOTOGRAPH FROM BRADFORD WASHBURN, NAT GEO IMAGE COLLECTION)

 さらに1年後、2人が率いるチームは標高4216メートルのヘイズ山初登頂に成功した。当時、女性用の登山服はなかったので、バーバラは男物を身につけていた。不安定な尾根を進むときは、バーバラが先頭に立った。体重が軽く、足場が崩れても引き上げやすいからだ。

 このとき、バーバラは生まれたばかりの娘を家に残していた。「冷静で自信たっぷりに見えるように振る舞っていました。でも、実際は恐怖で震えがとまりませんでした」。バーバラは後にそう話した。「それでも、滑ることも足場が崩れることもありませんでした。みんな無事に私の後に続きました」

ギャラリー:初登頂を連発した女性登山家バーバラ・ウォッシュバーン 写真10点
アラスカ州フェアバンクスを飛び立つ直前の登山隊。(PHOTOGRAPH BY BRADFORD WASHBURN, NAT GEO IMAGE COLLECTION)

 1947年、バーバラとブラッドフォードは3人の子どもを家に残し、北米最高峰デナリ(当時はマッキンリー)に登る。後にバーバラは、これを人生でもっとも難しい決断だったと書いた。2カ月近い旅を経て山頂に近づいたとき、チームのメンバーから最初に山頂に立つことを勧められた。「私はこう言いました。『一番乗りなんてどうでもいいわ。2番目でも十分満足よ』」。だが、結局先頭に立つことになり、北米最高峰に立った初めての女性となった。その後20年間、バーバラはこの山に登った唯一の女性であり続けた。(参考記事:「北米最高峰マッキンリー、デナリに名称変更」

 しかし、バーバラは自叙伝にこう記している。「マッキンリー登頂は、私の人生最後の大冒険にはなりませんでした。それどころか、私の人生はその後も冒険だらけだったのです」

次ページ:夫は誰も作ったことがないような地図を作っていた

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