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イタリア、ティレニア海にそびえる火山島ストロンボリ。手前に浮かぶのはストロンボリッキオという無人島だ。(PHOTOGRAPH BY ANDREA FRAZZETTA, NATIONAL GEOGRAPHIC)

日々1時間に4回近く噴火 世界有数の火山島に暮らす人々

2020.01.12
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「地中海の灯台」とも呼ばれるストロンボリ。イタリア、シチリア島の北方にあって、七つの火山島で形成されるエオリア諸島の一つだ。面積は米ニューヨークのマンハッタン島の4分の1ほど。海上に出ている部分は標高926メートルとあまり高くないが、今も世界有数の活発な火山で、2500年近くにわたって溶岩を吐き出し続けている。(参考記事:「ストロンボリ、活火山7峰」

 ストロンボリと周辺の火山島は、2000年にユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録された。火山学にとって重要というのがその理由だ。毎年夏になると、黒い砂がきらめくビーチで過ごそうと、旅行者が船で訪れる。夕暮れどきには、多いときには500人もの旅行者が4時間をかけてストロンボリの頂上を目指す。夜の暗闇の中で花火のように爆発する溶岩を見ることが目当てだ。

 2019年7月、ストロンボリで激しい突発的な噴火が起こり、噴煙は約4800メートルの高さに達した。高温の火山れきや火山灰が降り注ぎ、南西の斜面で山火事が発生。住民や旅行者を救命ボートで避難させる事態となった。ガイドツアーが始まっていない時期だったが、登山者1人が死亡し、数人が負傷した。 (参考記事:「【動画】エトナ山が噴火、イタリア・シチリア島」

 それから間もない8月28日には、ストロンボリで大噴火が起きる。山頂の火口から急勾配のシャーラ・デル・フオコ(「火の小川」)で火砕流が発生。海にまで達し、小規模だが津波が引き起こされた。イタリア市民保護局はストロンボリが不安定な状態にあると宣言し、3合目にあたる標高約290メートルから先の立ち入りを禁止した。

ギャラリー:シチリア沖 世界遺産の火山島と、そこに暮らす人々 写真21点(画像クリックでギャラリーへ)
ストロンボリ島の火山は常に穏やかな活動を続けており、ときおり、激しい噴火が起きる。2019年夏に大規模な噴火が相次いだ後、イタリア市民保護局は不安定な状態と判断し、標高約290メートル以上の立ち入りを禁止した。(PHOTOGRAPH BY ANDREA FRAZZETTA, NATIONAL GEOGRAPHIC)

 死者が出て、安全に関して国が動いたことは、火山ツアーの危険性を浮き彫りにした。19年12月にニュージーランドのプレンティ湾に浮かぶホワイト島(マオリ名はファカアリ島)の噴火で犠牲になった人々も火山ツアー参加者だった。火口のすぐそばにいた人が複数亡くなっている。ホワイト島の場合、噴火そのものは取り立てて珍しいものではなかったが、火口のそばに人がいたことが惨事を招いた。(参考記事:「NZの噴火 なぜ悲劇を防げなかったのか」

 旅行者は自ら危険に飛び込むべきではないだろう。そこで、私は19年11月にストロンボリを訪ねることにした。山頂からの360度の眺望や、火口を覗き込まなくても、ストロンボリを楽しめるかを確認したかったのだ。

地元のツアー会社が主催するボートツアー。ストロンボリを一周し、火山を360度から眺めることができる。(PHOTOGRAPH BY ANDREA FRAZZETTA, NATIONAL GEOGRAPHIC)

 地元のツアー会社マグマトレックのベアトリス・ファッシ氏は「夏に噴火が起きて以降、火山ツアーは激減した」と話す。「ツアーを続けるにしても、内容を根本から変えないといけませんね」

 島の北端にはサン・ビチェンソ、サン・バルトロ、ピシタという3つの村があり、島民のほとんどが暮らしている。なお、1930年の大噴火では6人が犠牲になったこともあり、かつて5000人を数えた人口は、今では10分の1の500人以下まで減っている。

左:夜の漁を終え、浜に戻ってきた漁師たち。(PHOTOGRAPH BY ANDREA FRAZZETTA, NATIONAL GEOGRAPHIC)
右:ストロンボリを散策する方法はいくつもあるが、自転車であれば一年中楽しめる。(PHOTOGRAPH BY ANDREA FRAZZETTA, NATIONAL GEOGRAPHIC)

 ファッシ氏と私は、夕方、狭い道を早足でこの3つの村を通り過ぎた。辺りが暗くなる前に、シャーラ・デル・フオコを迂回(うかい)するルートにたどり着くことが目標だったのだ。ストロンボリ独特の白く塗られた家に、色鮮やかなブーゲンビリアやノウゼンカズラ、ルリマツリが飾られ、薄暗い道を明るく照らし出してくれる。スクーターや小さな三輪トラックのヘッドライトがときおり通過するが、ストロンボリには街灯も自家用車もない。プンタ・ラブロンゾに到着すると、噴火の様子が見えるようになった。私はヘッドランプを装着し、島の伝説的なガイド、マリオ・(ザザ・)ザイア氏に会うため山を登った。ザイア氏は、火山の歴史にも詳しい。

 登山道はジグザグで、1951年に火山岩で舗装された。ロベルト・ロッセリーニ監督、イングリッド・バーグマン主演の映画「ストロンボリ/神の土地」が、この地で撮影され、公開された翌年のことだ。登っている間、ほぼ15分ごとに噴火し、雷のようなごう音とともに、真っ赤なマグマが吐き出す。見知らぬ世界にまさに一人きり。私は驚くほど穏やかな気持ちだった。

島に暮らす数百人の家は北部のストロンボリ、かつて漁業が盛んだった南部のジノストラに集中している。(PHOTOGRAPH BY ANDREA FRAZZETTA, NATIONAL GEOGRAPHIC)

 1時間30分かけて、展望台に到着。ごう音と炎を楽しむ約10人の火山ファンに合流した。そこで、犬を連れ、顎ひげを生やし、2本のつえを持った、早足で歩く人物を見つけた。私は「ザザさん!」と声を掛ける。こうして、あとは皆で山を下りた。

「私たちは爆弾の上に暮らしています」とマリオ・ザザ・ザイア氏は口を開いた。

ギャラリー:シチリア沖 世界遺産の火山島と、そこに暮らす人々 写真21点(画像クリックでギャラリーへ)
ストロンボリの火山を登る人々。一行を率いるのは、島で最も経験豊富なガイドの一人マリオ・ザイア氏だ。(PHOTOGRAPH BY ANDREA FRAZZETTA, NATIONAL GEOGRAPHIC)

次ページ:火山以外にも、見どころはたくさんある

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