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フエゴ島にあるアルゼンチンの都市ウシュアイアのそばでダムを作るビーバー。(PHOTOGRAPH BY LUJÁN AGUSTI, NATIONAL GEOGRAPHIC)

10万匹を根絶へ、人間が持ち込んだビーバーにまつわる悲劇 写真17点

2019.08.14

 9年前に22口径のライフルでビーバーを撃つようになるまで、ミゲル・ガジャルド氏は銃を所持したことも、動物を殺したこともなかった。南米チリの森林局員として10年にわたり動植物を守る仕事をしてきた氏は、2010年になって、チリの南端、ティエラ・デル・フエゴ諸島のなかのナバリノ島に派遣された。

 新たな担当地域を見て回ったガジャルド氏は、強い衝撃を受けた。かつて豊かな森が広がっていた場所が、倒木に覆われていたのだ。「すべてが真っ白でした。死んでいるからです。まるで幽霊の森のように見えました」と彼は言う。

ギャラリー:人間が持ち込んだビーバーの悲劇、写真17点(写真クリックでギャラリーページへ)
1946年に持ち込まれたビーバーはティエラ・デル・フエゴ諸島からチリとアルゼンチン本土へも広がり、後には死に絶えた森と流れのない池が残された。(PHOTOGRAPH BY LUJÁN AGUSTI, NATIONAL GEOGRAPHIC)

 森を破壊したのはビーバーだ。彼らは葉を食べるために木を倒し、その枝を使ってダムを作る。ビーバーのダムは川の流れを変え、氾濫も引き起こす。(参考記事:「動物大図鑑 ビーバー」

 なんとかしなければと考えたガジャルド氏は、許可を得て銃を購入し、できる限り多くのビーバーを狩ることにした。2015年には森林局の仕事をやめて「ナバリノ・ビーバー」という旅行会社を設立、幽霊の森をトレッキングしたり、ビーバーを狩ったり、脂身の少ないビーバーの肉を使った料理を味わったりすることができるツアーの提供を始めた。

 こうした彼の選択を、意外に感じる人もいるだろう。しかし、南米で自然保護に携わる多くの人たちと同様に、ガジャルド氏もまた、パタゴニア地域の森が生き残れるかどうかは、ビーバーの駆逐にかかっていると考えるようになっていた。

カナダからのビーバーの導入

 ビーバーは、経済的にも生態系的にもパタゴニアを「豊か」にしてくれるはずだった。アルゼンチンの軍部が、カナダのマニトバ州からアルゼンチン最南端のティエラ・デル・フエゴ諸島に20匹のビーバーを持ち込んだのは1946年。ビーバーを放つことで毛皮産業が興れば、人口の少ないこのエリアにも住人が増えるだろうと考えたのだ。

ギャラリー:人間が持ち込んだビーバーの悲劇、写真17点(写真クリックでギャラリーページへ)
泥炭地にあるビーバーの巣穴。(PHOTOGRAPH BY LUJÁN AGUSTI, NATIONAL GEOGRAPHIC)
ウシュアイア近郊の池。一帯からビーバーは駆逐されている。(PHOTOGRAPH BY LUJÁN AGUSTI, NATIONAL GEOGRAPHIC)

 しかし、実際には毛皮産業が興ることはなかった。一方で、ビーバーの数は爆発的に増加した。

 クマやオオカミのいる北米とは対象的に、ティエラ・デル・フエゴには、ビーバーを狙う天敵がほとんどいない。安心して暮らせる広い森と草原があるおかげで、ビーバーはまたたく間に一帯に広がり、その数を増やした。(参考記事:「ビーバー、動物界の建築家たち」

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