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ノイマイヤー南極基地の温室でキュウリを収穫する、ドイツのアルフレッド・ウェゲナー極地海洋研究所の地球物理学者ヨゼフィーネ・シュターケマン氏。(PHOTOGRAPH BY ESTHER HORVATH)

宇宙で野菜を育てられるか、南極で実験中 写真20点

2019.03.20

 容赦なく風が吹きつけ、氷に閉ざされた南極大陸。この大陸の海岸でキュウリが実っていると聞くと、驚くかもしれない。その横では新鮮なハーブや、ぴりっと辛みのあるルッコラも育っている。

 ここはドイツのアルフレッド・ウェゲナー極地海洋研究所が運営する3番目の研究施設、ノイマイヤーⅢ南極基地。野菜の栽培が行われているのには、壮大な目的がある。地球の大気圏外で食料を育てる方法を研究するためだ。いつの日か人間が火星に到達したときに、宇宙飛行士がそこで青果を栽培して食べられるかどうかを確かめようとしている。(参考記事:「3Dプリンタからレタス栽培まで、宇宙で食料調達するNASAの挑戦」

ギャラリー:宇宙で野菜を育てられるか、南極で実験中 写真20点(写真クリックでギャラリーページへ)
ノイマイヤー基地の温室と測候所のかなたに日が沈む。猛吹雪により視界が著しく低下したときに科学者らが手探りで歩けるように、2つの建物はフェンスでつながれている。(PHOTOGRAPH BY ESTHER HORVATH)

 国際宇宙ステーション(ISS)を別にすれば、ノイマイヤー基地はこの研究に最も適した場所のひとつだろう。ウェッデル海の東岸、エクストレム棚氷の上にあるこの基地には、飛行機か砕氷船で、それも夏の間の天候がよいときにしか行くことができない。(参考記事:「南極で巨大氷山の誕生を目撃、山手線内側のほぼ倍」

「地球上で、宇宙に最も近い場所です」と、1月にここで9日間過ごした写真家のエスター・ホルバート氏は話す。ノイマイヤー基地が南極にある他の研究基地と違うのは、棚氷の上にありながら一年を通じて運営されている唯一の拠点だということだ。越冬隊員として年中ここで生活するのは9人だけ。作業の多くは1つの大きな建物の中で行われ、屋内には休憩時間用の小さなバスケットコートや大画面テレビなども備えられている。

ノイマイヤー基地の温室で収穫された野菜が棚に並ぶ。さながら南極野菜の即売所だ。(PHOTOGRAPH BY ESTHER HORVATH)

次ページ:14カ月ごとに交代、棚氷の上の隔絶された基地

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