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ギャラリー:片腕で岩壁を登る女性クライマー 写真5点(写真クリックでギャラリーページへ)

モーリーン・ベック氏は障害者クライマーの挑戦はまだ限界に達していないと語る。「本当の限界がどこにあるのかわかりません」(PHOTOGRAPH BY CEDAR WRIGHT)

片腕で岩壁を登る女性クライマー、限界に挑む

2019.03.10
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 米国バーモント州の大学を卒業したモーリーン・ベック氏が、趣味でアイスクライミングを始めたのは2009年のこと。あるクライミングのサイトに次のような投稿をした。「こんにちは。私は生まれつき左腕の肘から先がないんだけど、トランゴ社のアイスツールの端を切り落としてネジをつけ、義手にはめ込んでみました。これで登れるかしら」

 すると、クライミング用品メーカーであるトランゴの創業者マルコム・デイリー氏から返信があった。何かあってもトランゴを訴えない限り大丈夫、という回答だった。デイリー氏もまた、右足の膝より先がないクライマーだという。そして、コロラド州で開催されるアイスクライミングイベント「ギンプス・オン・アイス」に、ベック氏を招待した。障害者のためのクライミング振興団体「パラドックス・スポーツ」が立ち上げたイベントで、この年が第2回目の開催だった。(参考記事:「氷河の中でアイスクライミング」

【動画】片腕で岩壁を登る女性クライマー、モーリーン・ベック氏(解説は英語です)

 それまで、ベック氏は他の身体障害者と一緒にアウトドアスポーツをやったことがなかった。メイン州の国立公園に近い小さな町で、アウトドアの好きな家族に囲まれて育った。弟が3人いるが、両親はベック氏だけを特別扱いすることはなかった。ベック氏自身も、左手がないなりに創意工夫を凝らして色々なことに挑戦した。ガムテープでパドルを義手に巻き付けてカヌーを漕いだり、体育の時間に習うスポーツは何でもやりたいと主張した。

 野球をやった時は、グローブを使わず片方の手だけでボールをキャッチし、投げ返した。中学校では、サッカー部の入部テストでゴールキーパーを希望した。コーチやキャンプのカウンセラー、体育教師に「今回は座って見学したほうがいいだろう」と言われれば、決まって「私にできないと思ってるんですか?見ててください」と言い返した。

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ワイオミング州ベダウー近郊でロッククライミング。2014年、ベック氏はIFSCパラクライミング世界選手権で米国人女性として初めて優勝した。(PHOTOGRAPH BY CEDAR WRIGHT)

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