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ケニア北部のキシミで、密漁者の罠にかかって死んだヒョウを運ぶレンジャーたち。(PHOTOGRAPH BY DAVID CHANCELLOR)

「殺すより守る」が部族へ浸透、ケニアの野生動物保護 写真18点

2018.08.30
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ナショナル ジオグラフィックの写真家デビッド・チャンセラー氏が、アフリカ、ケニアの動物保護の取り組みを写真とともにレポートする。

 アフリカでは、人間と野生動物が同じ土地に住み、同じ自然資源に頼って暮らしている。しかし人間の数が増え、貧困が根強く残るなか、人と動物の資源の奪い合いは深刻な問題となっている。

 動物はすみかを追われ、移動経路を阻まれ、水は農業用水に持って行かれる。密猟によってその数も減少している。村人たちは、自分たちの土地に侵入してくるライオンやゾウに襲われたりする一方で、報復として動物たちを殺す。動物も人間も、安心して暮らすことができない。(参考記事:「自然と人間 戦火の国立公園 ビルンガの闘い」

ギャラリー:「殺すより守る」ケニア動物保護の現場 写真18点(写真クリックでギャラリーページへ)
サンブル族の戦士は、「モラン」と呼ばれる。写真はケニアのササアブ村で、「モラン」になって10年目を祝う儀式「イムゲット・レ・ンカルナ」に参加する男たち。(PHOTOGRAPH BY DAVID CHANCELLOR)

 野生動物の保護を成功させたいなら、人間と動物が持続的に共存できる方法を探すことが重要だ。経済的要素もある。野生動物によってもたらされた利益は、ゾウに農作物を荒らされたり、ライオンやヒョウに家畜を殺されたりした人々に還元されなければならない。密猟ではなく保全することで農村社会が見返りを得られることが、成功につながる。(参考記事:「動物を救うために殺してもいいのか?」

 アフリカには、これらの条件を理解し、高い代償を払って地元の動物保護に取り組んでいる地域がある。私は、ケニア北部でそうした地域を取材し、『蝶と戦士とともに』と題した写真プロジェクトにまとめた。人々は部族の違いを超えて協力し、あらゆる種の保全に取り組んでいた。動物たちが昔から使ってきた移動ルートは、複数の部族の土地にまたがっているため、ここを通る動物たちの安全確保には、部族間の協力が欠かせない。

ギャラリー:「殺すより守る」ケニア動物保護の現場 写真18点(写真クリックでギャラリーページへ)
動物保護団体「ノーザン・レンジランド・トラスト」が運営するケニア最北の保護区。スタッフがオスのゾウに麻酔銃を撃ち、首輪を取り付けた後、ゾウの意識が回復するのを見守っている。この首輪で、ゾウの移動経路を詳細に追跡し、安全を見守る。(PHOTOGRAPH BY DAVID CHANCELLOR)

 プロジェクトに取り組み始めた2010年、この地域の複雑さを完全に理解するには、人々を理解し、彼らと野生動物との関係を理解しなければならないと悟った。ケニア北部の牧草地帯には多くの部族が暮らしているが、そのなかで最も私の関心を引いたのが、サンブル族だった。(参考記事:「ゾウの孤児院、変わるケニアの戦士たち 写真19点」

次ページ:ある家族はゾウ族に、別の家族はライオン族に属している

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