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カリフォルニア州サンディエゴ郡、カンポとポトレロ付近を焼く「ボーダー・ファイア(Border Fire)」の火。2016年6月22日撮影。この時点で約2600ヘクタールが焼け、消火範囲は15%だった。(PHOTOGRAPH BY STUART PALLEY)
現場に突入、消防士だから撮れた山火事の内側 写真18点
2017.09.08
米カリフォルニア州で育った写真家のスチュアート・ペリー氏にとって、山火事は当たり前の存在だが、魅了される現象でもある。そのキャリアを通じて、山火事への熱が冷めたことはない。
ペリー氏はこの5年間、カリフォルニア州南部に拠点を置き、州内の山火事をカメラに収めてきた。オレンジ郡からヨセミテまで足を運び、目を奪う瞬間を切り取っている。(参考記事:「【動画】炎上する大地、衝撃の山火事タイムラプス」)
2017年はカリフォルニア州の至る所で山火事が頻発し、広大な土地が焼け野原と化しているため、ペリー氏にとっては撮影の機会が山ほどある。「冬の降水量が多かったので火災活動は弱まるかと思いましたが、草や、キクイムシにやられた枯れ木はやはり燃えてしまいます」と、ペリー氏。(参考記事:「北米の針葉樹林で雷による山火事が増加、より北へ」)
迫力のある山火事の写真を撮ろうとしても、現場に近づくのが難しいこともある。特別な資格のあるメディアしか火災現場に立ち入れないからだ。しかしペリー氏は、そうやって現場に入れてさえ不十分な場合があると話す。「消防士たちと山を歩き回るんです。それには時間も経験も必要ですが」
実際のところ、ペリー氏は火の中に入るのに適した珍しい人材なのだ。火災に関心を持つ写真家というだけでなく、資格を持つ林野消防士として基本的な技能を身につけている。おかげで消防隊は、ペリー氏が一緒に突入してもその安全を心配する必要はない。
専門的な技術に加え、火災の撮影には予備の機器を必ず用意しておくことも欠かせない。ペリー氏の溶けたレンズや、壊れたカメラの部品がその証拠だ。「一般的な防塵防滴性能では、火によるダメージを防げません」
カリフォルニアの山火事には個人的な思い入れがあるペリー氏だが、これら自然災害に関しては一歩引いた視点からとらえている。人間と環境の、問題をはらんだ関係の象徴と見ているという。(参考記事:「山火事の煙害が広域化、死者は年間34万」)
「山火事は生態系の健全さと維持に不可欠です」とペリー氏。「それなのに、我々は火災を抑制しすぎて、今や燃料になるものが大量にはびこっている状態です」(参考記事:「カリフォルニア山火事、95%は人為的」)
山火事の炎はペリー氏に、人が環境に与えている負担の大きさを思わせる。一方で、山火事が大きな被害を生んでいることも絶えず実感している。
「自分たちの家が焼け落ちたかどうかも分からず、何もできない状況の人々を目にすることがあります」とペリー氏は語った。「ああいう光景はつらいものです」(参考記事:「山火事が発生、動物はどうする?」)