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オーストラリア、西オーストラリア州レフロイ湖の開発。(PHOTOGRAPH BY EDWARD BURTYNSKY)

人類が変えた地球の景観10点

2017.01.16
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写真家エドワード・バーティンスキー氏は、絶えず変化する地球の景観、人間の野心の痕跡を撮影している。

 およそ4000~5000年前、青銅器時代と呼ばれていたころから、人類は素晴らしい嗅覚で貴重な資源を探し当て、地球から取り出し続けてきた。

 しばらくは手作業で青銅をつくり、金や銅を採掘していたため、1人の人間が扱うことのできる量は限られていた。ところが20世紀、そして21世紀には、地球の資源を開発するための素晴らしい技術が次々ともたらされた。つまり、産業機械の登場によって、驚異的な規模とスピードで地球を切り裂くことができるようになったのだ。

 現代生活のあらゆる部分にテクノロジーが入り込んでおり、テクノロジーは例外なく、地球の資源を必要とする。スマートフォンの二酸化ケイ素(ガラス)、農作物の肥料となるリン、この記事を読者の皆さんに届けてくれるインターネットの銅線。ほかにも数え切れないほどの資源を使用している。写真家のエドワード・バーティンスキー氏はこうした資源開発の痕跡を目の当たりにし、その証拠を1冊の本として発表しなければならないと感じた。過去15年間の旅と仕事で撮りためた写真をまとめたのが最新作「Essential Elements(必須元素)」だ。61歳になったバーティンスキー氏は、絶えず変化する地球の写真を撮り続けてきた。その過程で、われわれ人間が地球に加えた変化も記録されている。バーティンスキー氏の目的は、破壊を目にしたときのやり切れない気持ちを伝えることではない。たとえマイナスの変化であっても、消すことのできない変化の足跡を写真に収めたかったのだ。

米国アリゾナ州クリフトンにあるモレンシ鉱山。(PHOTOGRAPH BY EDWARD BURTYNSKY)
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米国ニューメキシコ州ヒラの森。(PHOTOGRAPH BY EDWARD BURTYNSKY)
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コロラド川のデルタ地帯にある放棄されたエビの養殖場。メキシコ、ソノラ州。(PHOTOGRAPH BY EDWARD BURTYNSKY)
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オランダ、ロッテルダムのマースフラクテに築かれた堤防。(PHOTOGRAPH BY EDWARD BURTYNSKY)
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 バーティンスキー氏はこのような思いを胸に、世界のあちこちを訪れた。そして、採石場、爆破された岩肌、炭田、コンテナ港、農場、油田、岩塩抗などを撮影した。空撮が多いが、あまり高度は上げない。高度250メートルに近づくと、タイルがモザイクに見えるほど細部があいまいになってしまう。バーティンスキー氏は破壊の細部までとらえたいと考えている。破壊の手段はショベル、ブルドーザー、爆薬とさまざまだが、そこには必ず人が介在している。

センターピボットと呼ばれるかんがい農法。米国アリゾナ州ユマの南部。(PHOTOGRAPH BY EDWARD BURTYNSKY)
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 このような仕事をしているとしばしば、中国にたどり着く。地球上で最も人口が多く、野心と需要も大きい国だ。バーティンスキー氏はカナダ人だが、10回以上も中国を訪れている。そして毎回、再び訪れるべき理由を見つける。解き放たれた欲望の影響を間近に見たバーティンスキー氏は、中国の欲望を安易に悪者扱いできないと感じ、状況を注視している。「あの国で起きていることの規模は、われわれ欧米人がしてきたこととは比べものになりません」とバーティンスキー氏は話す。「しかし興味深いことに、意外な形でわれわれも影響を受けています。(米国やカナダに暮らす)われわれは仕事を失っていますが、中国は好景気に沸き、人々が仕事を得ているのです」

階段に囲まれた井戸。インド、ラジャスタン州アンベール。(PHOTOGRAPH BY EDWARD BURTYNSKY)
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スペイン、カディスの塩田。(PHOTOGRAPH BY EDWARD BURTYNSKY)
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黄河の小浪底ダム。中国河南省。(PHOTOGRAPH BY EDWARD BURTYNSKY)
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スペイン、アラゴン州ロス・モネグロスで行われている乾燥農業。(PHOTOGRAPH BY EDWARD BURTYNSKY)
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 これこそがバーティンスキー氏の作品がはらむ矛盾だ。破壊と荒廃の物語は多くの場合、誕生と成長の物語でもある。石油を採掘すれば、労働者が生活の糧を得る。木を切り倒せば、誰かの家が建つ。

 同じように、何が破壊であるかさえ、正確に知ることは難しい。地方の対極である都市は、近代化や進歩、洗練された文化の象徴として引き合いに出される。都市をつくるには、地中から金属を取り出すよりはるかに環境が破壊される。こうした問題について考えるとき、規模は論点としてふさわしくないのかもしれない。「これは、われわれ自身が生み出したニーズに対する自然な反応なのです」とバーティンスキー氏は話す。

You can see more of Edward Burtynsky's work on his website.

文=Daniel Stone/写真=Edward Burtynsky/訳=米井香織

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