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グランプリ受賞作。インドネシアのグヌン・パルン国立公園でティム・レイマン氏が撮影した、イチジクに登るボルネオオランウータン。(Photograph by Tim Laman)

最高峰のネイチャー写真賞、受賞作10点

2016.10.22
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 世界最高峰のネイチャー写真賞のひとつ「ワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー」の2016年の受賞作が発表され、ナショナル ジオグラフィックでもお馴染みの写真家ティム・レイマン氏の作品がグランプリに選ばれた。

 インドネシアのボルネオ島で撮影に臨んだレイマン氏は、3日間にわたってロープで木を登り降りし、複数のGoProカメラをさまざまなアングルで配置して、食事に戻ってくるオランウータンを待ち構えた。そして、予想通りに姿を現し、イチジクの木を登ってきたオランウータンの姿を見事にとらえてみせた。(同氏は2014年にも特別賞の栄誉に輝いている。参考記事:「ティム・レイマン、ネイチャー写真の特別賞を受賞!」

ナショナル ジオグラフィック2016年12月号(11月30日発売)では、ティム・レイマン氏が撮影を担当した「オランウータン」特集を掲載します。

 プロ・アマチュアを問わず世界中の写真家に門戸を開き、ネイチャー写真の最高峰として長い歴史を誇るこの写真賞に、2016年は95カ国から5万点という最多数の応募が寄せられた。

「生物多様性を維持する道はあるのでしょうか。人間は自然と調和して生きられるのでしょうか。ワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤーは、社会や環境に関するこうした問いかけを重視しています」。同賞を運営する英国ロンドン自然史博物館の館長マイケル・ディクソン氏は、声明でこう述べている。「受賞作はいずれも心に触れる作品で、自然についての考え方を変えるよう促す力をもっています」

 東南アジアの類人猿は、生息地の減少により数が減少している。2016年7月、国際自然保護連合は、オランウータン(スマトラオランウータンとボルネオオランウータンの2種)をともに近絶滅種に指定した。レイマン氏は、自分の写真が生息地の保護に役立つことを願っている。(参考記事:「焼かれる生息地、オランウータンの窮状」

 それでは、さらに9点の受賞作を紹介しよう。不思議な湖、夜の路地をうろつくヒョウ、フエダイの産卵などを楽しんでほしい。

インプレッション部門 受賞
メキシコのカリフォルニア湾で、エスピリトゥ・サント島沖の海に潜ったルイス・ハビエル・サンドバル氏に近寄ってきたのは、好奇心旺盛な若いカリフォルニアアシカたち。1頭のアシカが、海底からヒトデを拾って投げつけてきた。(Photograph by Luis Javier Sandoval)
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モノクロ部門 受賞
スズメフクロウは秋につがいとなり、春まで一緒に暮らす。スウェーデン南部のロスフルトで、そんなフクロウ夫婦の観察を楽しんでいたマッツ・アンデション氏はある日、つがいの1羽が森の地面で死んでいるのを見つけた。「残された1羽が樹上にたたずむ姿は、私自身の悲しみも映しています」。(Photograph by Mats Andersson)
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ディテール部門 受賞
ブラジルのレンソイス・マラニャンセス国立公園では、雨期になると砂丘の谷に水がたまり、無数の湖が出現する。ルディ・セバスチャン氏はこの一時的な現象をとらえようと、かなり前から準備して撮影に臨んだ。この風景は、数週間後には消えてしまった。(Photograph by Rudi Sebastian)
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都市の自然部門 受賞
インドのサンジャイ・ガンジー国立公園に隣接するムンバイの郊外では、夜になると、ヒョウが食べ物を探して路地をうろつく。インドでヒョウがニュースになるのは、通常は人が襲われたときだが、それとは違う姿をとらえたいと考えたナヤン・カノルカール氏は、4カ月がかりでこの一枚をものにした。(Photograph by Nayan Khanolkar)
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水中部門 受賞
西太平洋のパラオ周辺の海には毎月、満月の前後の数日間、バラフエダイの群れが産卵のために大集合する。雌が卵を産み、雄が放精する躍動感にあふれる光景を、長年にわたり水中撮影に取り組んできたトニー・ウー氏がとらえた。(Photograph by Tony Wu)
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地域部門 受賞
イタリアのアオスタ渓谷を2年にわたり撮影してきたステファノ・ウンターティナーは、山々が低い雲に覆われるタイミングを心得ていた。ある日、ハゲワシが小鳥の群れの上空を旋回した瞬間にウンターティナーはシャッターを切り、「野生に満ちた素晴らしい地域」の魅力をとらえた。(Photograph by Stefano Untertheiner)
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ヤング・ワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー 受賞
木の枝に止まるカラスは、英国ロンドン在住のギデオン・ナイト氏が自宅近くのバレンタイン・パークでよく目にする光景だ。ナイト氏はユニークなアングルを求めて、カラスの向かい側にある坂からこの一枚を撮影した。(Photograph by Gideon Knight)
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単写真部門 受賞
インドネシア・スマトラ島のベラワン港で押収された、約4000匹の冷凍されたセンザンコウ。記録上で最大規模の押収劇に偶然遭遇した写真家のポール・ヒルトン氏が撮影した。センザンコウのうろこは万病に効く薬になると信じられ、伝統薬の材料として中国やベトナムに運ばれる予定だった。(Photograph by Paul Hilton)
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鳥部門 受賞
インドのケオラデオ国立公園(別名バラトプル鳥類保護区)で、樹上の巣穴に戻ってきたワカケホンセイインコが、ベンガルオオトカゲと鉢合わせした瞬間。逆光の中、ガネーシュ・H・シャンカール氏はわずか数秒のチャンスをものにした。(Photograph by Ganesh H Shankar)
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参考記事:ナショナル ジオグラフィックの関連特集と、過去の受賞作
2016年1月号「ハゲワシ “嫌われ者”の正体」(フォトジャーナリスト賞)
2016年5月号「よみがえるセーシェル」(無脊椎動物部門 入賞)
2015年 受賞作品
2014年 受賞作品

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イギリスで50年続く、世界最高峰の写真賞
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文=Delaney Chambers/訳=鈴木和博

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