希少な自然や文化など、「未来に残したい」対象をテーマとして取り上げてきた。20年にわたって世界で撮り続けたなかから、24カ国の森を収録した写真集『森 PEACE OF FOREST』を2016年に出版。幻想的な水辺の森や、夜のバオバブ、紅葉の白神山地といった多彩な森の情景を、本誌2016年6月号に掲載した。

 1963年福岡県生まれ。三好和義氏に師事した後、独立。シルクロード横断、フェルメールの全作品の撮影など幅広く活動するかたわら、ライフワークとして、世界各地の森をこつこつと撮ってきた。

 森を歩いていると、「生」と「死」の循環をさまざまな形で目にするという。なかでも強烈な印象を残したのが、米国カリフォルニア州のインヨー国立公園で出会ったブリスルコーンパインだ。

「この木のことは、実はナショナル ジオグラフィックで知りました」。1950年代の英語版の誌面で、「地球に現存する最古の生物」として紹介されていた木だ。なんとしても探し出そうと全長7キロのトレイルをひたすら歩き、夕暮れを迎える頃になって、ついにたどり着いた。

「過酷な環境の高山で4000年以上も生き続けているその木は、幹や根がグネグネと曲がりくねり、異様な形相でした。一部が朽ちても、枯れた部分を栄養にして、別の部分が生長を続けていくのです。その姿に、強いエネルギーを感じました」

 カメラを手に撮影するときには、光や構図をめぐって多くの決断を下していく。基準となるのは視覚からの情報だ。だが、世界の森を長年撮り続けるうちに、「森や自然の中では、目で見たことがすべてではない」と思うようになった。

「森にいると、僕らのどこかに眠っている“生き物”としての感覚がよみがえる。その感覚を目覚めさせることができた者を、大自然はより深く迎え入れてくれるのです」


『ナショナル ジオグラフィック日本版』2016年6月号「写真は語る」に、写真を追加して掲載した。